火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第23章 思いは光の架け橋へ〈後編〉
「うん、ねずこ、よかっ、た!
みんな、いっしょ、ねぇ!」
そうだね、とふみのが禰󠄀豆子に笑いかけると
禰󠄀豆子はふみのの涙を指で拭いてくれた。
ふみのと杏寿郎は禰󠄀豆子を連れて、
炭治郎の病室へと向かった。
「炭治郎くん!」「炭治郎!」
「!! ふみのさん!
煉獄さん!」
「体の具合は大丈夫…?」
「はい!もう暫く安静にとのことなんですが、
痛みも全然なくて!」
お陰様で元気いっぱいです!と
炭治郎は拳をぐっと握った。
炭治郎の全身にはまだ包帯が巻かれていたが、
食欲が止まらないんです!と
手土産に持っていった饅頭を勢いよく頬張った。
禰󠄀豆子は窓の外を飛ぶ蝶々を
まじまじと眺めていた。
「禰󠄀豆子ちゃんも本当に良かったわ…!」
「俺も驚いてます。
…まだ完全に人間に
戻れたわけではないですが、
禰󠄀豆子の話す声が
聞けるようになったのが嬉しくて…!」
窓際で外をきょろきょろ眺める禰󠄀豆子の後ろ姿に
炭治郎は目を細めた。
「…そういえば、先程廊下にて、
不死川によく似た少年を見かけたのだが、
名を知っているか?」
「ああ!玄弥のことですか??
俺の同期の一人なんです!」
「成程、そうだったのか!」
「玄弥はもうほとんど回復してるんですが、
寝てると体が鈍るって言って、
どこかに行ってしまいました…」
「その“玄弥”という少年だが…、
不死川の兄弟なのか?」
「甘露寺さん曰く、そうらしいのですが…、
不死川さんご本人は
そうとは言っていないみたいで…」
「うむ、そうか…」
杏寿郎と炭治郎の会話を聞いてふみのは、
他の人には分からない二人の隠された想いが
あるのではと思った。
「そうだ…!時透くん…!
時透くんの容態は…っ?」
「時透くんは上の病室です!
一番奥の右側の病室にいると思います!
まだ少し傷が痛むって話してて…、
しのぶさんが要安静って言ってました」
「…そう」
「ふみの、後で時透の病室も行ってみよう」
「うん…!」
「あの、煉獄さん…。
その継子のお話なのですが…っ、」
「ああ。慌てず、落ち着いたら、
稽古を始めよう。
まずは体を整えてからだ」