火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第23章 思いは光の架け橋へ〈後編〉
寝台から前のめりになる蜜璃を
ふみのは抱き止めた。
「だ、だって…、お二人が一緒にいるの、
久しぶりに見れたんですもの…っ!!」
こんなに嬉しいことはありませんっ!!と
目を潤ませる蜜璃をふみのは
ありがとうと、その桃色の髪を撫でた。
「蜜璃ちゃんが無事で
本当に良かったわ…っ!」
「炭治郎くんと無一郎くん、玄弥くん、
本当に強くてすごかったんですよ!!
…皆がいなかったら私…、
どうなっていたか分かりません…」
蜜璃の体に巻き付けられた包帯を見ていると、
その凄まじさが伝わってくるようだった。
「他の皆もまだ病室に…?」
「はい!多分、炭治郎くんと玄弥くんは
同室だった気がします!
無一郎くんは二階だったかな…?」
「ありがとう。
少し顔を出しに行ってくるね」
「はい!
あ、私も皆の様子を見に行こうかな…?」
「…甘露寺。少し休んだ方がいい。
傷に障る」
腕を組んだまま、椅子に腰掛ける小芭内が
蜜璃を見つめた。
「…甘露寺が眠りにつくまで
此処にいる」
すると、小芭内の首元にいた白い蛇・鏑丸が
しゅるりと蜜璃の枕元に蹲った。
「伊黒さん、鏑丸くん、
ありがとう…!」
頬を赤らめ、嬉しそうに微笑む蜜璃。
その様子に小芭内の目尻が下がる。
ふみのは二人が
相思相愛なのだと気付いていた。
二人の愛らしいやりとりに
その場の空気が和んだ。
ふみのはこれ以上
二人の邪魔をしてはいけないと思い、
杏寿郎に退室の合図を目配せした。
「うむ!では、甘露寺!
俺達はこれにて失礼する!
伊黒の言う通り、
今はしっかり体を休めた方がいい!」
「蜜璃ちゃん、お大事にね。
治ったらまた家に寄ってね」
「はい!煉獄さん!ふみのさん!
今日はありがとうございました!
必ずお伺いしますねっ!」
布団からにっこり笑う蜜璃は
心の底から幸せそうだった。
「炭治郎達の病室は一体何処だ…?」
杏寿郎とふみのが廊下で右往左往していると、
一つの病室の扉が開いた。
そこから出てきた少年──鋭い目つきと鼻面に傷がある──と
ぱちりと目があった。
「あ、あのっ!」
ふみのは思い切ってその少年に声を掛けた。