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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第4章 決意と別れ




瑠火は部屋に敷かれた布団に横になったまま、
庭先にいる木刀を振る杏寿郎達を見ていた。

とんとんと襖が鳴り、
失礼しますと、ふみのの声が聞こえた。

はいと返事をすると、
ふみのが薬を持って部屋に入ってきた。

「瑠火様、お昼のお薬をお持ちしました。
 …あと、さつまいもの甘煮を作ってみました。
 お味みしていただいても、よろしいですか?」

瑠火は喜んで頷いてくれた。

ふみのはゆっくり起き上がる瑠火を支え、
差し出した小皿の甘煮をぱくりと食べた。

「とっても美味しいです。
 味付けも上手ですね。杏寿郎が喜びます。」

ほっと安心し、ふみのは瑠火に薬を渡す。

それを飲み終えると瑠火は申し訳なさそうに
ふみのを見た。

綺麗な瞳だとふみのはいつも思う。

「ふみのさん、
 ご迷惑おかけして本当にごめんなさい。
 家のことも任せてしまい…自分が本当に情けないです」

落ち込む瑠火をふみのは初めて見た。

「そんなふうに思わないでください。
 皆んな、瑠火様に早く良くなってもらいたくて
 やっていることです。
 早く、元気になってほしい……その一心です…」

本当にありがとうと、
優しく微笑む瑠火は前よりだいぶ痩せていた。

「私はふみのさんがこの家に来てくれてたこと、
 元気になってくれたことが本当に嬉しくて。
 杏寿郎達とも仲良く過ごしてくださって、
 感謝しかありません」

優しく微笑みながら、ゆっくり話す瑠火に
何かいつもと違う雰囲気をふみのは感じていた。

「そんな…っ。私の方こそ、槇寿郎様に助けていただいて、
 今もこんなにお世話になっていて…。
 煉獄家の皆さんには本当に感謝してもしきれません。
 本当に、本当にありがとうございます…っ」

ふみのは深く、頭を下げた。

「…ふみのさん、顔を上げてください」

再び瑠火を見ると、今まで見たこともない表情に
ふみのは目を見開く。

「杏寿郎達にはまだ話してきませんが、
 私はもう長くは生きれないかもしれません」

その言葉に、ふみのは固まった。

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