火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第22章 思いは光の架け橋へ〈前編〉
「うん、この後ちゃんとしのぶさんに
診てもらってくるね。
心配してくれて、ありがとう」
ふみのはにっこり微笑むと、
杏寿郎も安心したように、笑みを落とした。
「あら。
お邪魔をしてしまったようですね」
「!! し、しのぶさん!」「胡蝶!」
そこにやってきたのは、
蟲柱・胡蝶しのぶだった。
二人の様子を見てにこにこと嬉しそうだ。
「お二人とも、お怪我はありませんか?」
「あ、えと、杏寿郎が、
額に怪我を負ってしまってて…!
簡単な処置はしたのですが…っ」
「俺は問題ない!
胡蝶、ふみのの腕を今すぐ診て欲しいのだが」
「分かりました。
蝶屋敷にて診察をさせて頂きますね」
「あの、しのぶさん…!他の隊士の皆は…?!」
ふみのは不安気にしのぶに訊く。
「皆、気を失っているだけでした。
大丈夫ですよ。
鬼はきっと、後でゆっくり仕留めようと
していたんでしょうね。
…でも、ふみのさん、
少し無茶をしましたね?」
「…っ!」
しのぶの問いかけに
ふみのはびくりと肩を竦めた。
「…杏寿郎の伝令で
人員不足だと伺って…っ。
少しでも力になりたくて、
一緒に…来てしまいました…」
ふみのらしい返事に
しのぶはやさしく微笑んだ。
「でも、何事もなくて安心しました。
日輪刀も握れるようになって…、
本当に、良かったです」
にっこり笑ってくれたしのぶに、
ふみのの目頭が熱くなる。
「…ご心配をお掛けして、
本当にすみませんでした。
ここまで回復できたのも、
しのぶさんの治療のお陰です。
本当にありがとうございました…!」
「いえいえ、私は何も。
さ、ふみのさん、行きましょう」
三人はその足で、蝶屋敷へと向かった。
ふみのの腕は特に異常もなく、
急な動きにより出た痛みだろうとのことだった。
杏寿郎はそれを聞いてほっと胸を撫で下ろした。
しのぶはふみのに、
今後任務へ出向くことは許可するも、
必ず誰かと同行するようと指示を出した。
「念の為、湿布を処方しておきますね。
万が一痛みが出た場合は、
またいらしてください」