火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第22章 思いは光の架け橋へ〈前編〉
「しのぶさん達から禰󠄀豆子のことを聞きました。
俺が眠っている間、
禰󠄀豆子が本当にお世話になりました…っ。
禰󠄀豆子、ふみのさん達に
ご迷惑をおかけしませんでしたか…?」
「ううん!禰󠄀豆子ちゃんが居てくれて
毎日とってもに楽しくて。
炭治郎くんの目が覚めたって伝えた時、
禰󠄀豆子ちゃん、とっても喜んでたわ」
「竈門少年。竈門妹は、神崎少女に預けている。
陽の当たらない部屋に連れていくとのことだ!」
炭治郎は二人の話しに、ほっと胸を撫で下ろした。
「何から何までご迷惑お掛けしてすみません。
本当にありがとうございました…!」
すると、でも…と、
炭治郎が続きをしょんぼりと話し始めた。
「…俺、また日輪刀を刃毀れをさせてしまったんです。
しかも二ヶ月近くも眠ってしまったので、
体力も早く戻さないとですし…」
まだ本調子ではない炭治郎の声は、
弱々しく聞こえた。
「竈門少年。
今はただ、自分の身体のことだけを
考えていれば良い。焦りは禁物だ。
日輪刀に関しては、お館様より許可が下りれば、
直接、刀鍛冶の里に出向くことも出来る」
「…!!
そっか、ふみのさんと煉獄さんも、
行かれてましたよね…!
もう少しだけ待ってみて、
何も連絡がなければ、
手紙を出してみようと思います」
「うむ!きっと何か理由があるのだろう」
「炭治郎くん。
今は治療に専念して、ゆっくり休むこと。
大丈夫よ。きっと刀鍛冶の方が
丁寧に直して下さってるはずだわ!」
「はい…!
ありがとうございます…!」
炭治郎のいつもの笑顔に
二人は和んだ。
「…あと、煉獄さん…、その、」
「? どうした?」
炭治郎の目の色が変わり、
杏寿郎をしかと見つめた。
「…俺…っ、
ご迷惑じゃなければ、
煉獄さんの…、継子になりたいんです…!!」
「「…!!」」
杏寿郎は炭治郎の真剣な眼差しから伝わる
熱い志に胸を打たれた。
杏寿郎はその場で、大きく頷いた。
「ああ。分かった。
だが、まずはしっかり体調を整えてからだ。
日輪刀が戻り次第、また鴉を飛ばしてくれ。
稽古を始めよう」
「はい…!
煉獄さん!ありがとうごさいます…!!
俺、一生懸命頑張ります!
よろしくお願いします…!」