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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第21章 希(まれ)を込め、想う ˖☽°.*




「…これから先も、
 ふみのの作る料理を
 毎日食べていたいくらいだ」

その言葉に、杏寿郎ははっと、口元に手を当てた。

「すまない…っ!
 今のはその…っ、つまりだな、
 ふみのには正式に、伝えたいのだがっ…、」


“これから先も”─────


杏寿郎からそう言ってもらえた嬉しさに
ふみのは熱くなる目頭を抑え、微笑んだ。


「ふふっ、…“その時”は、
 杏寿郎にさつまいものお味噌汁を、毎日作るね」


お互いに、想う未来を言葉にして言わずとも、
その意味は伝わっていた。
杏寿郎も泣きたくなるような嬉しさに
胸が熱くなった。


「…ああ、ありがとう」


二人は微笑み合うと、
杏寿郎はそっとふみのの額に口づけた。





その晩は、隠が運んでくれた料理を二人は愉しんだ。

ふみのは隠に、明日以降可能であれば
食材を直接貰うことはできないかと、願い出た。
隠は、その場で快く了承してくれた。





夜も深まり、二人は一番奥の和室に
布団を二つ並べ、床に就いていた。
行燈の光りが、部屋をほんのりと明るく染める。


「ふみの、寒くはないか?」

「うん、平気よ。
 杏寿郎は?寒くない?」

「ああ、俺も平気だ。
 …が、一つ欲を言えばだな、」

「?」

「ふみのの隣で眠りたいのだが、
 …構わないか?」

「…!!」

ふみのは急にぽっと顔が熱くなった。

「…駄目か?」

「う、ううん!駄目じゃない、です…っ。
 …私も、杏寿郎と一緒が、いいな」

布団から目元をだけを覗かせ、
頬を赤らめるふみのに杏寿郎は目を細め、
ふみのの布団に入る。
すると、ふみのの頭をそっと持ち上げ、
自分の腕をその下に滑り込ませた。

「…杏寿郎、腕…重くない?」

「ああ、何も問題ない。
 …ふみのの、いい香りがする」

杏寿郎はそう言いながら、
もう片方の手でふみのの髪をさらりと梳いた。

「…そういえば、温泉からね、
 ほんのり丁子の香りがしたの。それかな?」

「確かに、仄かにしていたな。
 でもこれは、ふみのの香りだ。
 …花のような、甘い香りがする」

「…杏寿郎からはね、…そう、お日様みたいな
 あたたかいやさしい香りがするわ」

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