火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第21章 希(まれ)を込め、想う ˖☽°.*
「十日間程…、お時間を頂けますか。
ふみの殿の力に、そして支えになる日輪刀を
誠意を尽くしてお創り致します」
「お時間は気にせず…!
完成をこちらでお待ちしております。
いつも…ありがとうございます。
よろしくお願い致します」
ふみのは庄衛に頭を下げた。
「…でも、こうしてまた、
お二人にお会いできて、本当に良かった…。
今日はお疲れでしょう。
長が用意してある離れで
どうぞごゆっくりお寛ぎ下さい」
「何から何まで…、
本当にありがとうございます」
ふみのは庄衛に笑顔を向けた。
「出来上がりが今から待ち遠しいな」
「うん!本当に…!」
庄衛はふみのと杏寿郎の
仲睦まじいやりとりを
微笑ましく見つめた。
「…そうだ、ふみの殿。
花は…お好きですか?」
「! ええ、大好きです…!」
「この家の少し先に…、
これからご案内する離れに向かう途中に、
里の皆が管理している小さな庭園がありまして。
今は秋桜が見頃を迎えています。
宜しければ、杏寿郎殿とお立ち寄り下さい」
「秋桜…!とっても綺麗ですよね。
是非お伺いさせていただきます。
教えてくださってありがとうございます」
ふみのは、楽しみねと杏寿郎に笑う。
杏寿郎も、そうだなと、目を細めていた。
「…では、私はこれにて失礼致します。
隠の方がご案内に伺いますので、
このままこちらでお待ち下さい。
また十日後に」
庄衛は丁寧に頭を下げ、部屋を後にした。
その後、一人の女性の隠が部屋に来ると
少し歩いたところにある
ひっそりと佇む平屋の離れに
二人を案内をしてくれた。
室内は趣があり、幾つかの和室が個々に並び、
午後の日差しが部屋を明るく照らしていた。
庭は美しく手入れされており、
自然の小さな川が流れ、錦鯉が池に泳いでいた。
「炎柱様、光柱様。
お荷物はこちらに置いてございますので。
何かあれば、鴉でお知らせくださいませ。
この離れを出てすぐのところに、
露天の温泉がございます。
この離れの中にも、
温泉を直接引いておりますので、
どうぞご利用くださいませ」
「うむ!承知した!
案内ご苦労だった。
短い期間ではあるが、世話になる!」