火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第21章 希(まれ)を込め、想う ˖☽°.*
「「構造が、違う…?」」
ふみのと杏寿郎の声が重なった。
「…これは私の憶測なのですが…、
…呼吸が自らの意思を
持ち合わせているのでは…ないかと」
「…! 呼吸が、意思を…?!」
「何か手掛かりはないかと
過去の文献を探していたところ、
祖父の記録に、気になる一文があり…。
そこには、
"聲(こえ)が
剣士を希に誘(いざな)う"と、
記されていました」
「…以前、光の呼吸の日輪刀を創る際は、
“希を込めて打つ”と、仰っていましたよね…」
「ええ、仰る通りです。
光の呼吸の真意は、“希”を、
…つまり、何かを“望む”ことを
意味しているのではないかと思ったのです」
「…! …何かを“望む”こと…。
…それって────…」
ふみのは、猗窩座との戦いの末、
意識を失った後に聞いた声を思い出した。
「ふみの…?」
「如何、されましたか…?」
杏寿郎と庄衛がふみのの顔を覗き込んだ。
「…夢なのか、定かではないのですが…、
目覚める前に、二つの声を聞きました。
仄暗い低い声と、
透き通る女性のような声を…。
暗い声は、私をどんどん闇へと
引き摺り込ませるようで、
感情という全てが、消えていくようでした。
でも、最後に…、
“また杏寿郎に会いたい”って、
思ったんです…っ。
そうしたら突然視界が開けて、
その女性の声が、聞こえてきて…、
『 目の前の 闇に 惑わされるな
憎しみに 刀を向けず
希(まれ)を 望みを 切り拓け 』
…それを聞いて、私は目を醒しました」
「…成程。
祖父が記した“聲”というのが、
それだとしたら…、
杏寿郎殿に逢いたいという想いが“望み”となり、
ふみの殿を、その闇から護ったのですね」
「…!
つまり、望むことが、…希望が、
呼吸の軸と、なっているということなのでしょうか…?」
「ええ、その可能性は大いに考えられます。
これも私の勝手な解釈になりますが、
…呼吸は剣士に対し、
希望を…見失わないで欲しいと
そう伝えているのでは、と…。
光の呼吸は、
ただ悪しき鬼を滅するだけには働かず
望みを見出すことで
真の力を…発揮できるのではないでしょうか」
「…!!」