火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第21章 希(まれ)を込め、想う ˖☽°.*
「はっ…!
薫子さん本当にごめんなさい…っ!」
ふみのははっと我に返り、
薫子に何度も頭を下げた。
「いえ、…お二人を見ていると、
本当に心が和みます。
里の温泉は様々な効能があると聞いています。
せっかくの機会ですので、
ゆっくりお過ごしになってきてください」
「ああ、そうらしいな!
また日輪刀が直り次第、此方に戻る!」
「畏まりました。
鴉にて、ご伝達頂ければと思います。
では、ご案内を」
ふみのと杏寿郎は目隠しをすると、
もう一人やってきた男性の隠に背負われ、
刀鍛冶の里へと向かっていった。
そして背負われること、
小一時間後────…
「炎柱様!光柱様!
大変お待たせ致しました!
こちらが刀鍛冶の里でございます!」
ふみのと杏寿郎は、
途中何人もの隠に背負われながら、
刀鍛冶の里へと到着した。
目隠しを取ると、
そこには風情ある建物が美しく並び、
微かに檜のやさしい香りが鼻を掠める。
「すごい…!とっても素敵ね…!」
「これは見事だな!」
「この道の左を曲がると
長の家がございますので、
宜しければお立ち寄りください!
お二人が来られるのを
楽しみにしていらっしゃいましたので…!」
体格の良い男性の隠に連れられ、
ふみのと杏寿郎は
刀鍛冶の里の長である
鉄地河原鉄珍の家を訪れた。
その家に入ると
女中が部屋まで案内をしてくれた。
長い廊下を進み、一番奥の襖を叩く。
「入ったってや」と返事が聞こえ、
失礼致しますと、杏寿郎が膝をつき襖を開けると、
ひょっとこの面をつけた鉄珍が
赤い座布団に鎮座していた。
その後ろには護衛と思われる男性が
二人構えている。
「遠ぉいところから、よくお越しくださった。
どうも、コンニチハ。
まま、そこに座んなはれ」
杏寿郎の後にふみのは続くと、
畳に敷かれた座布団に座った。
「ワシ、この里の長、鉄地河原鉄珍。
里で一番小さくって一番偉いの。
まあ、畳におでこつくくらい
頭下げたってや」
「お初にお目に掛かります。
鬼殺隊 炎柱 煉獄杏寿郎と申します」
「同じく鬼殺隊におります、
一ノ宮ふみのと申します…!」
二人は丁寧に頭を下げた。