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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第21章 希(まれ)を込め、想う ˖☽°.*




ふみのがちらりと杏寿郎を見ると
ぱちっと視線が重なった。
照れ合いながらも、幸せそうに微笑む二人に
皆が癒されていた。


「…て、てかさっ!?
 宇髄さん、どこっっ!?!
 完っっ全に見失ったじゃんっ!!!」

「そうだった!でも大丈夫!
 まだ宇髄さんの匂い、道に残ってるし!」

「ならさっさと行くぞ!!
 お前ぇら!!親分に続けよ!!?」

「分かった!
 それじゃあふみのさん、煉獄さん!
 道中もお気をつけて!」

「ああ、竈門少年達もな。
 くれぐれも、無理はするな」

「はい!ありがとうございます!
 ふみのさん、ではまた!」

「うん!禰󠄀豆子ちゃんにもよろしくね」

炭治郎達は大きく手を振りながら、
天元が向かった道を走っていった。


「…花街に、鬼はいるのかしら」

ふみのは心配そうに
駆けてゆく三人の背中を見つめていた。

「彼処は夜になれば多くの人が行き交う。
 且つ若い女性が集まり、人を喰う鬼にとっては
 尚更、好都合な場所だ。
 …しかも宇髄の妻達も消息を絶っているとなると
 益々鬼の存在を疑わざるを得ない」

「…確かに、…そう、よね」

ふみのは何か思い耽るように
じっと一点を見つめていた。

「…ふみの?
 どうかしたのか?」

「…あ、ううん!何でもないわ!」

杏寿郎がそっとふみのの瞳を覗き込んだ。

「…俺には、そうは見えないが」

そのやさしい眼差しに、
ふみのは心の思いを呟いた。

「…日輪刀が直ったらね、
 一日でも早く任務に加勢できるように、
 …今までみたく、刀を振れるように
 なりたいなって、思ったの」

ふみのの左手の拳がぎゅっと握られていた。
杏寿郎がその硬くなった手を
ふわりと握りしめた。

「ふみの。…焦らなくていい。
 刀が直ったら、
 また少しずつ鍛錬を積んでいこう」

「うん、…杏寿郎、ありがとう」

ふみのは杏寿郎が包み込んだ掌に、
指を絡ませた。

泣きそうに笑うふみのに
杏寿郎の目尻が下がった。


「…え、えと!ふみの様、炎柱様…!
 お取り込み中、大変申し訳ないのですが、
 ご案内の続きを…!」

「うむ!そうだったな!
 藤崎少女、何度も説明をさせてしまい
 すまなかった!」

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