第21章 希（まれ）を込め、想う ˖☽°.*

「蝶屋敷の女達を連れて
　乗り込むつもりだったのに、
　色々と邪魔が入ってよ。

　…ンで、急遽アイツらと
　潜入することにしたってワケ」


「「「・・・“アイツら”…？？？」」」


天元は走ってきた道の奥を指さすと、
三人の人影が走ってくるのが見えた。

（…！
　…もしかしてあの三人組…！）

見覚えがある人影に
ふみのははっとした。
天元も横目でその方を見た。

「…煉獄と列車の任務に同行した
　兎に角うるせぇ三人組」

「！！　もしや竈門少年達か！」

「そ。しょーがねぇから、ヤツらと
　吉原に出向くことにしたわ」

「…で、でも、炭治郎くん達は、
　男性ですよね…！？
　男性でも、…その、花街に
　潜入することはできるのですか…！？」

ふみのが不思議そうに眉を顰めた。

「そこは俺様の腕の見せ所よ！
　…まあ、一ノ宮みてぇな別嬪なら
　すぐにでも花魁になれっかもな」

「えっっ…！？！」

「宇髄！！それについては
　俺が容認しないぞ！！」

杏寿郎は笑ってはいたものの、
全力の気迫で天元に物申した。

「悪ぃ、冗談だって！

　…ま、この件は俺らでどうにかする。
　今から里に行くんだろ？
　刀直して貰う次いでに
　温泉にでも浸かってのんびりしてこい！」

じゃ、またな！と天元は瞬く間にその場から姿を消した。
その姿は既に胡麻粒のようになっていた。

「…宇髄さんってとっても足が速いのね…！」

「うむ！元忍でもあるからな！」

「そうなのね…。
　…あと杏寿郎、お嫁さんが
　三人もいるって、本当…？」

「ああ！それは事実だ！
　奥方達も優秀なくノ一だと聞いている！」

確かに少々多い気もするがな！と
杏寿郎は天元の行った道を見つめていた。


「で、では炎柱様、ふみの様、
　里へのご案内の続きをしま…」


「オラオラオラアアッッ！！！」

「「「　！　」」」


薫子の声は怒号に掻き消され、
三人はくるりと向きを変えた。


「炭治郎！！善逸！！
　もっと速く走れねぇのか！！？
　オッサンに置いてかれっぞ！！！」

「宇髄さん、本当に足が速いな…！
　全然追いつけないや…！
　ほら！善逸！早く！」

「ちょっ…！ま、待ってくれよぉ〜！！」


すると伊之助、炭治郎、善逸が
全速力でこちらに走ってきた。