火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第21章 希(まれ)を込め、想う ˖☽°.*
「ふみのさん、
光の呼吸について何か分かれば
是非教えて欲しい」
「はい!帯金様にお伺いしてみようと思います。
では、行って参ります」
二人は頭を下げ、門の外へと向かった。
「途中までになりますが、
私と他の隠にて、ご案内をさせて頂きます。
まずこの目隠しを…、……」
二人が薫子から説明を聞いていると、
何かが静かに迫ってくるような気配を感じ取った。
三人はその方に視線を向けると、
道の奥から凄まじい速さで誰かが走ってくるのが見えた。
「・・・!!?
彼方は一体…っ!?」
「む!?」「え!?」
すると突然、びゅんっと風が巻き起こると、
目の前には音柱である宇髄天元が立っていた。
額に付けた飾りがじゃらっと揺れた。
「おう!煉獄と一ノ宮じゃねぇか!」
「宇髄!久しいな!」
「だな。一ノ宮も、元気そうだな」
天元が柔らかく笑った。
その瞳に、ふみのも緊張が和らぐ。
「宇髄さん…!ご無沙汰しております!」
「…てことは、アレか!
やっとド派手に
イチャつく二人を見れるってワケか!
ったく、随分と焦らしやがって」
「ぇ…っ!!」
「そう言われると、何だか照れるな!」
まさか天元に自分達の関係が
知れ渡っているとは思わず、
ふみのは驚き固まってしまう。
「お館様からも公認なんだぜ?
隠すもなんもねーだろうよ」
「うむ!そうだとしても、
見せびらかすことではない気もするが!」
もっとド派手にすりゃいいのにと口を尖らせる天元に、
杏寿郎は、俺の性分ではないな!と溌剌と振る舞っていた。
「…あ、あの!宇髄さんは、そんなにお急ぎで、
何方に向かわれるところだったのですか!?」
ふみのは自分達の話題から逸らそうと、
勢いよく天元に話しかけた。
「花街にな。
…鬼が潜んでるって噂だ。
しかも上弦の可能性もある」
「「!!」」
「成程、鬼の情報があった、…吉原か」
杏寿郎の目つきが変わった。
ふみのと薫子も息を呑んだ。
「…俺の嫁三人が潜入してたんだが、
連絡が途絶えちまって」
「えっ…、そんな…っ」
ふみのの声が詰まるも
ふと、天元の言葉が脳内を巡る。
(・・・ん?
お嫁さんが、三人…???)