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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第20章 お見舞いと花束




ふくとトミは、ありがとうございますと、
何度も頭を下げた。

薫子は所用があるのでと、その場を後にし、
ふみのは二人を居間へと案内した。



ふみの達が居間に着き、
程なくして千寿郎がやってくると、
淹れたての茶を座卓へと置いた。

「今日はわざわざお越しいただき、
 ありがとうございます。
 父にも声を掛けましたので、
 もう少々お待ちただけますでしょうか…?」

「はい!全然っ!
 ごゆっくりで大丈夫ですっ!」

ふくは少々緊張しているようだったが、
祖母のトミはふみのと千寿郎に
穏やかに話し掛けた。

「突然押しかけるようなことをしてしまい、
 大変申し訳ありません…。
 お時間を頂きまして、感謝しております」

ふくとトミはまた頭を下げると、
千寿郎は慌てて口を開いた。

「いえっ!そんな全然お気になさらずに…!
 父と兄のことを思って、
 こちらまでいらして下さったこと、
 とても嬉しく思っています」

千寿郎がにっこり笑うと、
ふくもトミも嬉しそうに微笑む。

「私も祖母も、煉獄様の安否を知れた時、
 本当に嬉しくて…!
 …列車の事故の事を知って、
 ずっと心配していたんです…」

「列車とは、無限列車のことですよね…?
 兄とはそこで…?」

千寿郎が続けてふくに問う。

「はい、駅で初めて煉獄様とお会いしました。

 私と祖母は駅構内でお弁当を販売しているんです。
 …列車事故の前夜、駅に鬼が現れて…。
 襲われそうになった私達を
 煉獄様が助けて下さったのです」

「なるほど、そうだったのですね…!」

「はい。そして夜が開けて、その日の夕方、
 無限列車にご乗車になる煉獄様にお会いして。
 そうしたら、販売していたお弁当を
 全て購入して下さったんです!」

「えっ!?全部、ですか?!」「!!」

ふみのと千寿郎は目を丸くした。

「はい!私も驚きましたが…!」

ふみのと千寿郎と顔を見合わせると、
思わず吹き出してしまった。

「?? あの…?」

ふみのと千寿郎の様子に、
ふくとトミは首を傾げた。

「ごめんなさい、急に笑ったりして…。
 杏寿郎らしくて、つい…!」

「きっと兄はそのお弁当を
 本当に気に入っていたのだと思います!
 どのようなお弁当を販売されていらしたのですか?」

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