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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第20章 お見舞いと花束



「ううん!
 来てくれて本当にありがとう。
 会えて嬉しかったわ!
 また遊びにいらしてくださいね」

ふみのと千寿郎は三人の後ろ姿に手を振った。

小芭内と無一郎はすたすたと道を進む中、
蜜璃は何度も振り返り手を振ってくれた。



すると、しばらく行ったところで
無一郎がくるっと振り返り、
ふみのに駆け寄ってきた。

「…? 時透さ…っ」

「苺、」

「…?」

「ちゃんと、食べてよね」


「…! はい!…っじゃなくて…、
 大切に、いただくね。時透くん!」

「…っ!」


無一郎は驚いたように瞬きをすると、
前髪でさっと目元を隠した。


「時透くーーん!
 置いてっちゃうよー?」

蜜璃に呼ばれると、
無一郎はその方に駆けていった。


「…時透さんは、まだお若いのに、
 とても落ち着いてらっしゃる方ですね」

何だかとても大人に見えましたと、
そう言いながら、千寿郎は手を振っていた腕を下ろした。

「ね…!あの若さで柱にもなっていて…、
 本当にすごいわ…っ!」

次に会った時はもう少し話しができればと
ふみのはその思いを募らせつつ、
小さくなる三人の姿を見つめた。


すると背後から、
走る足音が近づいてきた。


「ふみの様!!」


くるりと振り返ると
薫子が肩で息をしていた。

「! 薫子さん!」

何かを話そうとするも、
呼吸が乱れ、声を詰まらせていた。

「何かあったの…?!」

「…と、取り乱してしまい、
 大変申し訳ありません…っ。
 炎柱様は…ご在宅でしょうか…?」

「! 今、ちょうど出かけていて…。
 杏寿郎に、何かご用?」

「はい…、炎柱様にどうしても
 お礼を伝えたいと話す
 年配の女性と…そのお孫さんだと
 思われる方がいらしているんです…。

 少し前に、鬼に襲われそうになったところを
 炎柱様に助けて貰ったとのことで…」

「…! そうだったのね。
 …ごめんなさい、いつ頃戻るかを
 杏寿郎に聞いていなくて…」

「…あと、…」

「??」

「…炎柱様のお父上、
 槇寿郎様にもお礼を伝えたいと
 仰っているのです…」

「…!! 槇寿郎様にも…!?」

「父上のことを知っている方が
 いらしているのですか…?!」

千寿郎もその言葉に目を大きく見開き、
驚いていた。

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