火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第20章 お見舞いと花束
「ふみの様、
いつもお気遣いいただき、
本当に…ありがとうございます」
薫子は嬉しそうに頬を赤らめ、
何度もふみのに頭を下げた。
「さ、ふみの、家に帰ろう」
「うん…!
今日から、またお世話になります」
「ああ、こちらこそ、宜しく頼む!
ふみのが傍に居てくれると思うと
これ以上の喜びはないな…。
…俺も、父上も、千寿郎もいる。
些細なことでも構わない。
何でも、頼って欲しい」
「うん…!ありがとう。
ふふっ、大好きな人と
同じお家に帰れるって…、
本当に幸せね」
「ああ、本当に…そうだな」
二人は幸せそうに微笑む。
「…ふみの、手を」
「はい…っ!」
杏寿郎はふみのの左手を優しく握りしめ、
煉獄家へと向かっていった。
「ふみのお姉様…!!」
「千寿郎くんっ!」
煉獄家の門を潜ると、
千寿郎が目元を潤ませながら、
ふみのへと駆け寄ってきた。
ふみのも涙が溢れ、
千寿郎をぎゅっと抱きしめた。
「千寿郎くん、今まで、本当に…ごめんね。
勝手なことばかりして、
本当にごめんなさい…っ」
「いいえ、そんなことありません…!
こうやってふみのお姉様が
お戻りになってくださって
とっても嬉しいんです…!
また一緒に暮らせますね!」
「うん…っ!」
千寿郎はふみのの顔を見て
涙を流しながら嬉しそうに綻んだ。
「さ、ふみの、家に…」
「ふみのさん…!!」
懐かしい声が響き、
そこには槇寿郎が立っていた。
「槇寿郎様…っ!」
槇寿郎は以前のような面影は一切なく、
ふみのが一番最初に出会った時の
“炎柱 煉獄槇寿郎”の姿がそこにあった。
ふみのは深々と頭を下げた。
「槇寿郎様…、
自分のことばかりに囚われて、
身勝手なことをして…、
本当に申し訳ございませんでした。
それなのに、私を…また煉獄家に
おいてくださるとお伺いして…、
もう、何と感謝をお伝えしていいのか…、」
「ふみのさん、
どうか顔を上げて欲しい」
槇寿郎はふみのに近寄り、
その肩をそっと持ち、顔を上げさせた。