火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第20章 お見舞いと花束
「藤崎少女には、こちらの都合で
色々と我儘を押し付けてしまい、申し訳ない…」
「いえ。どうかお気になさらずに。
煉獄家の皆様もさぞかしお喜びになれるかと思います」
「ああ、ありがとう。
藤崎少女の厚意には頭が上がらない…。
こんなにも頼もしい隠がいるふみのは誇り高いな」
「そうね、本当に。
どれだけ感謝しても…しきれないぐらいだわ。
そうだ、お館様にも、
お会いして…、お屋敷のことも含めて、
これからのことをお伝えしてみようと思う」
「うむ、そうだな。
何かあれば俺も同席する」
「うん、ありがとう!」
「要に、ふみのが帰ることを伝えておく。
日取りが決まったら、また教えて欲しい。
ふみのを…迎えに行く」
「うん…!!」
薫子は、にっこり微笑み合う
仲睦まじい二人をまじまじと見つめた。
(…ふみの様と炎柱様って、
本当にお似合いだわ…)
二人のあたたかく優しい気持ちが伝わってくる。
ふみのと杏寿郎を見て、
二人の想い合う気持ちは計り知れないと
薫子は思った。
いつか自分もこんなふうになりたいと
薫子は密かにその思いを胸にしまった。
後日、ふみのは薫子に代筆を頼み、
耀哉と庄衛に文を送った。
耀哉には、出来れば直接本部に伺いたいと綴るも、
先日から体調があまり芳しくないとのことだった。
耀哉もふみのの腕のことを心配しており、
しのぶを通じて、その経過を気にしていたのだ。
耀哉も自身も、ふみののことを理解してくれており、
鬼殺隊には、ふみのが思うままに居ていいと、
そして是非、庄衛から光の呼吸の詳細を
聞いてきて欲しいと、書かれていた。
そして煉獄家に戻ることも、快諾してくれた。
文末には、二人がまた一緒にいるところを見たいとも綴られており、
ふみのは思わず笑みが溢れた。
庄衛の文には、
今まで起こった出来事を書き記すと、
是非会った時に詳細を聞かせて欲しいと返ってきた。
そして、刀の直しについても
快く承諾してくれた。
その日、ふみのはしのぶに腕の経過を診せに
蝶屋敷に出向いた。
杏寿郎とのことをさり気なく聞かれたので、
お陰様でまた煉獄家で過ごすことになったと話すと
嬉しそうに喜んでくれた。