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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第19章 目覚めたその視線の先に ˖☽°.*




ふみのは、その事実に目を大きく見開いた。
煉獄家を出る前、槇寿郎とは配膳の時に
そっと声を掛けるぐらいで殆ど会話もなくなっていた。
もう自分事など気にも留めてないだろうと
ふみのは思っていたのだ。

「俺が今回の任務の報告をした時、
 …父上は既に知っていた。

 上弦の鬼と出会したことも、
 …ふみのの肩の怪我のことも。

 ふみのに、どうしても礼を伝えたいと。
 …どうか、煉獄家に戻ってきて欲しいと、
 そう話されていた」

「…槇寿郎様が、私のことを…」

ふみのの目尻に溜まった涙が次から次へと落ちた。
煉獄家の想いに、ただただ、ふみのは嬉しかった。

杏寿郎は腕の中で泣くふみのを、
より一層強く抱きしめた。


「この先、何があろうとも
 俺がふみのを護る。

 ふみのの傍に、いさせて欲しい。
 これからもずっと…ふみのの傍にいたい」


杏寿郎の陽だまりのような優しい香りと、
包まれた腕のあたたかさに、
ふみのの目頭がさらに熱くなる。


「…うん、ありがとう。杏寿郎。
 本当に…ありがとう…っ」



杏寿郎の胸元にそっと手を当てて、
ふみのはその緋色の瞳を見上げた。

「杏寿郎…?
 少しお話を、…聞いてくれる?」

「ああ、勿論」

ふみのは少し目を泳がせるも、
意を決したようにその口を開いた。


「何が…出来るかまだ全然分からないけれど、
 …私、これからも鬼殺隊として、此処に、いたい」

「…!」
 
「私も、杏寿郎を護りたい。
 …今までずっと、そう思ってきたの。
 杏寿郎と過ごしてきて、
 この想いだけは、ずっと変わらないわ。

 そして私を支えてくれた皆の為にも、頑張りたい。
 …たとえ小さくてもいいから、
 私の出来ることを、していきたいの」

「ふみの…」


ふみのから向けられる熱い思いに
杏寿郎は耳を傾けて聞いていた。

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