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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第19章 目覚めたその視線の先に ˖☽°.*




「ふみのが眠りについた後、
 要に言付けを頼んたので大丈夫だ。
 …千寿郎がふみのに会いたがっていると、
 要が言っていた」

「本当…?…千寿郎くんにも
 酷いことをしてしまって…」

眉を顰め俯いたふみのの頬に掛かる髪を
杏寿郎がふわりと梳いた。

「ふみのが気に病むことは何もない。
 具合が落ち着いたら、
 千寿郎にも会いに来てくれないか?
 きっと喜ぶはずだ」

「うん…っ、ありがとう」

杏寿郎がその頬を撫でると
ふみのはにっこりと微笑んだ。


(ああ、俺は…、
 この笑顔には、敵わんな…)


ふみのの愛らしい微笑みに
杏寿郎は心癒されてゆく。


「…あの任務で乗った列車の中で、
 夢を、見たんだ」

ぽつりと呟く杏寿郎を
ふみのは見上げた。

「…夢?」

「ああ、鬼の血鬼術で見た夢でな。
 …本当に現実のようだった」

「どんな…夢だったの?」

「俺が柱に就任し、
 父上にその報告をしていた。
 千寿郎もいて、祝福してくれた。

 そして…ふみのが、
 いつものように、帰ってきてくれた。
 嬉しさの余り、ふみのにこの想いを告げ、
 …約束を、伝えたんだ」

「…約束?」

ふみのが小さく首を傾げて、杏寿郎を見つめた。
杏寿郎は落とすように、優しく微笑んだ。


「ああ。
 “必ず、ふみのを迎えにいく”と」

「…っ!」


そして、杏寿郎の眼光が、一際熱くそろう。


「ふみの。
 俺はこれからの時間を、
 ふみのと共に過ごしていきたい。
 どうか煉獄家に、戻ってきてくれないか…?」


突然の杏寿郎の言葉に、ふみのの視界が滲む。

嬉しい気持ちが湧き上がるも、
しかしあの日、黙って勝手に家を飛び出した自分は
もう煉獄家に住める身ではないと、
後めたさがふみのを責め立てた。

「で、でも、私…、
 煉獄家を裏切るようなことをして…、
 そんな私が敷居を跨ぐなんて、許されないわ…」

「ふみの、これは俺だけからではない。
 父上と、千寿郎からの願いでもあるんだ」

「…!槇寿郎様が…?!」

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