火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第19章 目覚めたその視線の先に ˖☽°.*
「…すまない…っ、
傷が痛んだか…!?」
「…ううん…、大丈夫、だから…っ」
「だが…これ以上は怪我にも触る、もう」
「…杏寿郎…、お願い…っ」
杏寿郎は自分を上目遣いに見る
ふみのの潤む瞳に釘付けになる。
ふみのは沸き上がるその想いを伝えようと
杏寿郎の着流しの袖をぎゅっと掴んだ。
「…杏寿郎を…
このまま、感じていたいの…っ」
「…っふみの…」
杏寿郎はその言葉に自身の中の理性が本能へと姿を変え、
再びふみのに覆い被さるとその火照った唇を貪った。
「…っん、ぁっ…」
ふみのから甘い吐息が漏れ、
それに煽られるように杏寿郎の全身を熱が駆け巡る。
既に熱を帯びた自身の強ばりの僅かな鈍痛に
杏寿郎は顔を顰め耐えていた。
杏寿郎が苦しそうに眉を寄せるその姿に
ふみのは左手を伸ばし、その頬を撫でた。
「……杏寿郎…?」
ふみのは杏寿郎の全てを受け止めるように
優しくにっこりと微笑んだ。
「…本当に、大丈夫だから」
柔らかく穏やかな表情のふみのは
今までにない程に杏寿郎を求めていた。
「…やさしくする」
「ん…っ」
杏寿郎の口付けがふみのの額にちいさく降ると、
ふみのの心臓がときんと跳ねた。
杏寿郎はふみのをそっと抱き上げ、
奥の座敷に敷かれた布団へと向かうと
ふみのをゆっくりと下ろした。
その先に起こる酷く甘美なひとときを
分かりきった二人の息差が
静寂な部屋に広がる。
杏寿郎はふみのを見つめたまま、
ふみのの腰に手を滑らせ、
緩く巻かれた帯を静かに解いた。
杏寿郎の緋色の瞳に見つめられ、
ふみのの鼓動が速まる。
杏寿郎の逞しい手が自分の腰を掠めていく感覚と、
しゅるしゅると帯が浴衣を滑る音と合わさって
どうしようもないくらいの羞恥心がふみのを襲う。
帯を解き終えると、
杏寿郎の手はふみのの襟元の合わせにも伸びた。
「…いいか?」
そう低く訊くと、
ふみのは恥ずかしそうにこくりと頷いた。
杏寿郎はそのままゆっくりと浴衣を左右に開くと、
ふみのの形の良い豊かな双つの柔い膨らみが
杏寿郎の眼前に溢れた。