火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第19章 目覚めたその視線の先に ˖☽°.*
…─────!?
突然、心に響く声に、
ふみのははっと目を開けた。
一瞬、目が眩むほどの光がふみのを包んだ。
ふみのは白い砂浜に横たわっていた。
目の前には大海原が広がり、
水平線から昇る朝日に海面がきらきらと光る。
先程までの暗闇はもうどこにもなく、
ふみのの体はふわりと軽くなった。
(…此処は…?
この声…、刀が折れる前に聞こえたのと同じだわ…っ)
ふみのの体は昇ったばかりの陽光に照らされ
ゆっくりと温まっていく。
『 ふみの
目の前の 闇に 惑わされるな 』
「…貴方は…一体、何者なの…っ?」
『 憎しみに 刀を向けず
希(まれ)を 望みを 切り拓け 』
「…どういう こと…?」
『 …己を 見失うな ふみの 』
「───…様っ、ふみの様っ!!」
ふみのはゆっくりと目を開けた。
今にも泣き出しそうな薫子が
ふみのを見つめていた。
「良かった…っ、良かったです…っ!
今しのぶ様を呼んで参ります…っ!!」
「…薫子 さん…、待って…っ」
「…!?」
薫子はその足を止めて、
ふみのに近寄ると心配そうに見つめた。
「…つっ…っ」
ふみのは体を動かそうとするが、
右肩に鈍い痛みが走る。
「ふみの様!どうか安静に…っ。
先日傷口が塞がったばかりなのです…」
それでもふみのは左腕を支えにして
ゆっくりと起き上がった。
薫子もふみのの体を支え、寄り添う。
ふみのは僅かに残る右腕の感覚を確かめるように
指先を動かした。
そして今まで通りに使える左手に胸を撫で下ろした。
ふみのは、猗窩座の攻撃を受けた時に、
もう日輪刀を握れなくなってしまうことを
覚悟していたのだ。
「…薫子さん、たくさん心配をかけて
本当にごめんなさい。
………あの…、杏寿郎は…?」