火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第18章 無限列車
「……貴方は何に、怯えているの?」
「───っ!?」
ふみのの言葉に、猗窩座の額に青筋が走った。
「貴方のその強さは何も生み出さない。
…ただ、虚しくなるだけだわ。
…貴方はどうしてそんなにも、
強さを、…求めているの…?」
その言葉が、猗窩座の逆鱗に触れた。
猗窩座の中で、何かが砕けるように散っていく。
遠い昔の、もう疾うに消えていた
遥か彼方の記憶を抉られるように───
…───さん
また 花火を一緒に─────…
「……黙れ…黙れ黙れ黙れっ!!!!!」
猗窩座の周囲に激しい風が舞い、
その風圧にふみのは足を踏み込む。
猗窩座の足元から四方八方に地面がひび割れ、
ふみのは宙を飛んでそれを避け、
片足を着地させると、そのまま猗窩座の前に攻め込んだ。
「ふみの!!よせ!!!」
ふみのは杏寿郎に見向きもせず、
ただ無心のまま、猗窩座に刀を向けていた。
ふみのは自分の命がどうなろうと構わなかった。
ここにいる皆の命を守り、鬼を斬るのは自分だと。
ふみのの中に、恐れはなかった。
「朽ちるのはお前だ!!
光の呼吸 参ノ型 幻明無垢!!」
ふみのの振り下ろした刃先から、
白い帯状の光が猗窩座の脚に伸びてゆく。
「…無駄なことを!」
気付くとふみのの目の前には
猗窩座の瞳があった。
「!!?」
猗窩座はふみのの頸椎を突いた。
ふみのは瞬時に気を失い、地面に倒れ込んだ。
「ふみの!!!」
「ふみのさん!!」「ふみ!!」
猗窩座はそのまま杏寿郎に迫り込み
腹部を目掛けて拳が飛んできた。
杏寿郎は避けようと体勢を変えようとするも
腹部の痛みで動きが鈍る。
「…炎の呼吸 伍ノ型 炎虎…っ!!!」
それでも杏寿郎は死に物狂いで刀を振った。
しかし猗窩座は炎の虎を瞬く間にその拳で掻き切っていく。
「これで終わりだ!!杏寿郎!!」
「煉獄さん!!」「ギョロギョロ目ん玉!!」
(く…っ、避けきれない…っ)
杏寿郎は猗窩座からの攻撃を、日輪刀を盾にして構えた。
すると次の瞬間、猗窩座の真後ろから神々しい光が攻め立ててきた。