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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第18章 無限列車




猗窩座はざっと後ろに退いた。
ふみのは杏寿郎達の前に立ち、
猗窩座を睨みつける。

「…誰だ?お前は」

「貴方に名乗る名などない…!」

猗窩座は威嚇してふみのを見た。

「…俺の相手は杏寿郎だ。
 邪魔をするな」

「…貴方の頚を、此処で必ず斬り落とす」

「…俺の話を聞いてないのか?
 其処を退け。…目障りだ」

「ふみの!!俺に構うな!!」

杏寿郎はどうにかふみのの前に出ようとするも
腹部の痛みで、その足が出ない。
杏寿郎は腹部を手で押さえ、膝をついた。

「く…っ、ふみの、ここから離れろ…っ!」

「……私はこの鬼を倒す」

ふみのは刺すように
猗窩座を睨(ね)めつける。

「…俺に敵うはずがない。
 さっさと消え失せろ」

ふみのは杏寿郎を背にしたまま、
猗窩座の眼前へと迫り出た。

「ふみの、止めろ!!」

猗窩座は目に見えぬ速度で
ふみのの背後に回る。

(早い…っ!!!)

ふみのは自身の足を軸にして体を捻り、
猗窩座へと刀を勢いよく振り翳す。
猗窩座は刀が当たる寸前に身を躱し、
またもやふみのの背後につこうとする。

(後ろから狙うつもり…っ!?)

ふみのは背後の猗窩座に刀を向けるが、
目を合わす前にその姿を須臾にして晦ます。

(何故攻撃を仕掛けてこない…?!)

猗窩座は再びふみのと距離を取ると、
冷ややかに睨みつけてきた。

「さっさと其処を退け。
 …相手にするまでも無い。

 …人はいずれ朽ちていく。
 杏寿郎もお前も。

 それを鬼になれば永遠(とわ)に、
 強さだけを求め、
 生き永らえるというのに。
 …愚かな人間共め」

ふみのは冷静に猗窩座を見つめていた。

「…それは、本当の強さじゃないわ」

「……何だと?」

「…貴方の求める強さは、己の為だけのもの。
 人を襲い、痛みつける強さなんて、
 何も得ず、ただ哀しみが生まれるだけ。

 強さは、
 人を…大切なひとを、護る為にある」

「…は。そんなことどうだっていい。
 強ければ、どんなことにも打ち勝てる。
 …そして強さは、裏切ることはない。
 ただそれだけのことだ。
 …大して力もない奴が出しゃばるな」

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