火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第18章 無限列車
どうして
どうして いつも私は
大切なひとを
守ることが できないのだろう
お願い どうか
どうか 無事でいて
杏寿郎─────…っ
薄らと滲む視界に、杏寿郎の横顔が映る。
ふみのはただ只管に走った。
杏寿郎と猗窩座の争闘は
更に激しさを増していた。
杏寿郎は猗窩座の足元まで攻め込み、
刀を振り落とすも、急所には届かず
目紛しい速さで次の攻撃を仕掛けてくる。
「杏寿郎!!
俺に集中しろ!!全力を出せ!!」
猗窩座の攻撃が杏寿郎に的中し、
杏寿郎は勢いよく突き飛ばされる。
「煉獄さん!!」「ギョロギョロ目ん玉!!」
杏寿郎は痛みに耐えながら立ち上がるも、
その息は随分と荒くなっていた。
「…鬼になれ、杏寿郎。
そして俺とどこまでも戦い、高め合おう。
その資格はお前にはある」
猗窩座は、体力を消耗していく杏寿郎を
憐れむように誘い込む。
「…断る。もう一度言うが俺は君が嫌いだ。
…俺は鬼にはならない!!」
杏寿郎は全身の痛みを物ともせず、
瞬時に猗窩座の眼前に迫り、刀を奮う。
「炎の呼吸 参ノ型 気炎万丈!!」
「…そこまでしても衰えない気魄!!
素晴らしい!!見事だ!!
破壊殺・空式!!」
猗窩座からの拳を、杏寿郎は日輪刀を盾に弾き返す。
「まだ分からないか!攻撃を続けることは
死を選ぶことだということが!杏寿郎!!」
猗窩座の指先が杏寿郎の額を掠め、血飛沫が飛ぶ。
「炎の呼吸 壱ノ型 不知火!!」
杏寿郎の刀が猗窩座の両腕を肘から裂くが、
瞬時にその腕は元通りに再生される。
「ここで殺すには惜しい!
まだお前は肉体の全盛期ではない!!」
次の瞬間、
猗窩座の拳が鋭く杏寿郎の脇腹に当たった。
「ぐ…っ!!」
肋骨が砕け、その痛みに杏寿郎の顔が歪む。
「死んでくれ!!杏寿郎!!
若く強いまま!!!」
猗窩座のもう片方の拳が
杏寿郎の顔面を貫こうとした時───
「光の呼吸 壱ノ型 翠光!!!!!」
ふみのの放つ眩い閃光が、
猗窩座の両腕を肩から斬り落とした。
「!!!
ふみの…っ!?」
「ふみのさん…!!?」「ふみ!!!」