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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第18章 無限列車




「…連日任務でお疲れのはずです。
 休める時はしっかり休息を取るのも
 大切なことだと思いますが」

薫子は呆れ半分で、
ふうとため息混じりでふみのを見る。

「そうよね…でも何だか落ち着かなくて。
 …いつも我儘をごめんなさい」

「でしたら、ちゃんと他の日に非番をとって下さい。
 …ふみの様に何かあっては…嫌ですので」

薫子は心配そうに目を伏せた。
ふみのは近寄って薫子の顔を覗き込む。

「いつもありがとう、薫子さん。
 朝には必ず戻ります」

「…いいですか、ご無理は禁物ですよ」

「はい、気をつけます」

日が傾きかけ、直に夜になる。

ふみのは薫子ににっこりと微笑み、
屋敷を後にした。









ふみのは木々が鬱蒼と生い茂る
樹海の近くまで足を運んでいた。

その異様な雰囲気を辿り、
かなり遠くまで来てしまったようだ。

見慣れない場所の所為もあるのかもしれないが、
奇妙な空気はふみのを
暗闇の中に惑わすようだった。

その周辺にて複数体の鬼を斬ったはものの、
一向に胸騒ぎは収まることはなかった。

(何だろう、この感じ…)

ざわざわと締め付けるような感覚が
ふみのを襲う。

(…炭治郎くん達は、列車に乗った頃よね。
 杏寿郎とも無事に…会えたかしら…)

ふみのは空を見上げ、
木々の隙間から夜空を見つめた。

夜風が冷たくふみのの頬を攫う。
大分夜が深まってきていた。


ふみのは屋敷に戻ろうと
体の向きを変えようとした時だった。


「ふみのーッ!!!」


杲が酷く慌てた様子で
ふみのの元に飛び込んできた。

「杲さん…!?そんなに慌て…」
「キョ、杏寿郎ガ…ッ!」

「…!?杏寿郎がどうかしたの!?」

「杏、寿郎ガ、上弦ノ鬼ト遭遇シタ…ッ!」

「…!?」

杲の言葉に音が消えていくのが分かった。
ふみのの目の前が真っ暗になっていく。

ふみのは気付くと
杲が飛んできた方向へと走り出していた。

杲もふみのの頭上を飛び、誘導する。


息が詰まり、呼吸が上手く出来ない。
過ぎていく景色が異様に遅く感じる。

ふみのは奥歯を噛み締める。

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