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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第17章 柱合会議と光を継ぐ者




「最後に…、…っ」

「…?」

その先の言葉に、義勇は詰まる。

「冨岡さん…?」

蓮がふみのに残した
“大好き”という言葉を伝えようとした時、
義勇の中で、蓮の声が蘇った。



『へ〜!鮭大根かぁっ!
 まさか義勇さんも鮭好きなんて思わなかった!』


『…嬉しくないですか?
 名前を、呼んでもらえるのって』


『あたしも義勇さんの名前、
 もっと呼びたいです…っ!
 義勇さんと色んなこと、
 話していきたいんです…っ!!』


『…義勇さん、
 好き…っ、大 好き…っ』



義勇は俯き、
自身の手で目元を覆った。

「…冨岡さん…っ!
 ご気分でも悪いのですか…!?」

ふみのは心配そうに義勇に駆け寄る。


義勇は思った。



 蓮に 会いたい

 蓮に 名前を 呼んでもらいたい

 もっと蓮と 話したかった


 こんなにも

 蓮が 愛おしい なんて



暫くすると義勇は目元から手を下ろし、
ふみのを見た。

「蓮は…一ノ宮のことを
 心から想っていた。
 …“大好き”だと、そう言っていた」

「……っ!」

ふみのは涙を堪えた。

「…冨岡さん、ありがとうございます。
 私…必ず、鬼のいない世界にしてみせます」

「…ああ。
 俺も全力で鬼を斬る」

「はい」

ふみのは義勇の想いを感じた。

義勇も蓮のことを、
心から想っていたということを。

蓮の言葉を、
ふみのは大切に胸に繋ぎ留めた。



「…ふみのさん?
 ああ、義勇さんも…!」

その声にふみのと義勇は振り向くと
蓮の育手の菟田野欣善とその妻・ゐとがいた。
蓮の墓参りに来ていたのだ。

「欣善さん…!ゐとさん…!」

ふみのは勢いよく頭を下げた。

「ご挨拶にも伺えておらず、
 大変申し訳ございませんでした…」

「ふみのさん、顔を上げて。
 …またふみのさんに会えて嬉しいよ」

「蓮ちゃんを助けて下さって…、
 本当にありがとうございました。
 きっと蓮ちゃんもお二人に感謝していると思います」

欣善とゐとの穏やかな微笑みに
ふみのは涙が頬を伝った。

「…いえ…私は蓮を…守れなかっ…」
「…ふみのさん」

欣善はふみのの言葉を遮った。

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