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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第17章 柱合会議と光を継ぐ者




まさかそんなことを聞かれるとは思っておらず
ふみの表には出さずとも、少々たじろいてしまった。

「わ、私の呼吸…?
 …えっと…光の呼吸よ」

「コウ…の呼吸?ですか?」

「そう、ヒカリと書いて
 コウと呼ぶ呼吸なの」

「光の呼吸!へえ!初めて聞きました!
 なんだか、神秘的な感じがしますね!」

「そ、そう?ありがとう…!」

(…あ、あれ、ふみのさん、動揺してる…?
 あまり呼吸のことを話したくないのかな…)

炭治郎は、聞いてはいけなかったと戸惑い、
ふみのからそれ以上聞かないようにした。

「そ、それじゃあ、
 着物を直したらまた来るわねっ」

ふみのは光の呼吸について
聞かれるのを避けるように扉に向かった。

「あっ!あのっ、もし受け取りに行けそうな時は
 ふみのさんの屋敷に俺が行きます!」

「そう?じゃあお直しが終わったら、
 鎹鴉を飛ばすね」

「はい!よろしくお願いします!」

また連絡するねと扉が閉まり、
炭治郎はふみのの残した
困惑した匂いに首を傾げていた。



ふみのは屋敷に戻る途中、
遠くの道の先に、義勇の後ろ姿を見つけた。

(そうだ、冨岡さんに、
 呼ばれていたんだった…!)

「冨岡さん!」

ふみのは声をかけるも
義勇は道の角を曲がってしまった。

(…あっちは鬼殺隊の共同墓地の方だわ…)

ふみのはそのまま義勇の後を追いかけた。



敷地の中に入ると、義勇の姿があった。
ある墓石の前に花を手向けていた。

ふみのはゆっくりと近づく。

義勇はその墓前に腰を下ろし、手を合わせた。

(…もしかして…)

義勇がいたのは、蓮の墓石の前だった。

手を合わせ終わった義勇が
ふみのに気付き、立ち上がる。

「一ノ宮」

「…すみません。
 声もかけずに、突然…」

「いや」

わさわさと墓地の周りの木々が風に揺れた。

「冨岡さんの後ろ姿をお見かけして…。
 そのままついてきてしまいました」

「……。
 蓮からの、言付けを預かっている」

「…!!」

義勇はふみのの瞳を見つめた。


「…“ふみのは強い、大丈夫”だと。
 “傍にいてくれてありがとう”と」

「…っ」


ふみのの目に涙が溜まる。

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