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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第3章 生き残った一人の少女




瑠火に指示を受けながら、
ふみのは夕食の準備を進めた。

ふみのはみちから簡単ではあるが
調理の基本を学んでいた。

いつ何があってもいいようにと
みちはふみのへ料理や裁縫など
少しずつ教えていたのだった。

瑠火はふみのの手つきを見て、
程よく慣れている様子に感心していた。

「ふみのさんは盛り付けが上手ですね」

瑠火に褒められ、ふみのは頬を赤らめた。

(かあさまがいつも教えてくれたことが
 こうやって誰かに褒めてもらえるなんて)

じんわりと心があたたかくなり、
みちを思い出して少し寂しくもなった。

「きっといいお嫁さんになれるわ」

「……」

(いつか、誰かを好きになったりするのかな…)

ぼんやりとそんなことを思った。

ふみのに恋心が芽生えるのは
もう少し先の話になりそうだ。




夕食が完成し、居間へ料理を運んでいると、
奥の部屋から槇寿郎達が歩いてきた。

「ちょうどお夕食の用意ができましたよ」

「ああ!二人が泥だらけだったので
 湯浴みを済ませてしまった!
 先に入ってすまない」

「いいえ、大丈夫ですよ。
 今日もたくさん鍛錬をしていたのですね」

槇寿郎達は湯浴み後で、頬が熱っていた。

「母上、ふみのさん!
 先に入ってしまい、申し訳ない!」

杏寿郎は鍛錬の後にもかかわらず、
疲れなど一切無いようだった。

「さあ、ふみのさん、お夕食をいただきましょう」

ふみのは瑠火の横にちょこんと正座する。

「「「「いただきます!」」」」

ふみのも両手を合わせて、心で
いただきますと言った。

「ふみのさんに準備を手伝ってもらったんです。
 とっても丁寧に盛り付けてくれました」

「ほう!これは見事だ!
 ふみのさんは料理の腕前がありそうだな」

槇寿郎はまじまじと料理を見ていた。


その時。


「うまい!うまい!うまい!!」

あまりの大きな声に
ふみのは目をまんまるにして杏寿郎を見た。

(………うまい…?!なんて大きな声…)

その様子にふみのはしばらく固まってしまった。

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