火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第17章 柱合会議と光を継ぐ者
薫子は膝の上に置いた手で
自身の隊服をぎゅっと握りしめた。
「姉は真面目でとても優しくて…。
名前の響きも似ていたので
本当の姉妹なんじゃないかって、
自分で勝手に思っていました。
強くて、剣捌きも本当に美しくて、
その呼吸が光の呼吸と分かった時、
本当に嬉しそうでした。
型名に自分の名前があると、
それをとても喜んでいました」
『光の呼吸に、
姉さんの名前と同じ
“翠”の文字があるんだねえ!
すごい!すごいよ!』
『炎柱様から光の呼吸の指南書を
お借りして見た時、私も驚いたわ!
…でもね、伍ノ型だけが
分かっていなくて』
『そうなの…?
でもきっと姉さんなら
いつか使えるようになるよ!
だって姉さんは、
光の呼吸に選ばれた人だもん!』
『ふふ、そうだったらすごく嬉しい。
光のように明るく、
希望を与えられる人になりたいな!』
「…でも姉の率いる部隊の隊士が
任務中に立て続けに鬼に襲われ、
命を落としていきました。
姉は責任を感じ、酷く自分を責め、
落胆し、憔悴していきました。
顔色もどんどん悪くなって…。
それでも姉は必死に、
刀を振り続けていました。
そしてある日の任務の最中に…、
突然、命を落としました」
薫子の話しをふみのは
ただ静かに聞いていた。
「…姉が亡くなった日。
その日も体調が思わしくなく、
私は任務に行こうとする姉を
何度も引き止めました。
でも姉は、これは自分の使命だと、
それだけを言い放って家を出て行きました。
姉と過ごせた期間は短かったですが、
姉がいてくれたから今の自分があります。
…そして姉の意思を継ぎたくて、
今ここにいます。
光の呼吸が姉の命を奪ったとは
思いたくありません。
勿論、呪いの噂も聞きましたが、
信じたくありません。
…でも時々、疑わざるを得ないんです。
光の呼吸のことを。
だから、ふみの様のことを…、
支えたいと思う反面、
また、同じことが起こったら、
どうしようって…っ。
…私、怖くて…っ」
薫子は肩を震わせ泣いていた。
ふみのは立ち上り、
薫子を抱きしめた。