火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第17章 柱合会議と光を継ぐ者
「え、えと…、瞑想をしていて…、
そこから少しずつ、です…」
「そう、ですか」
「…?」
どのような意図があって薫子が
その質問をしたのかふみのは分からなかった。
「…私の呼吸が、何か…?」
「…いえ、特に何もありません。
忘れてください」
薫子はまた黙々と箸を進めた。
ふみのは思い切って薫子に話しかけた。
「か、薫子さんは、どうして鬼殺隊に…?
あ、でも、無理にお話されなくて…」
薫子の手が止まった。
静かにその視線を落とす。
「……姉が、亡くなって」
「…っ、すみません、突然聞いて…」
「…いえ」
薫子もきっとさぞかし辛い思いをしてきたのだろうと
ふみのは思った。
薫子は一点を見つめるように
固まったままだった。
「…薫子さん…?」
その声に、薫子は
ふみのを見つめた。
「……私の姉も、
光の呼吸の使い手でした」
「…!!!」
ふみのは思わず、息を飲む。
今、なんて…?
お姉様も光の呼吸を使っていて…
亡くなった…?
薫子の言葉に思わず耳を疑う。
まさか薫子の姉が、
光の呼吸を得ていたなんて。
思いも寄らない事実に
ふみのは薫子をただ見つめていた。
「姉が亡くなったのは九年も前の話です。
…姉といっても
“本当の姉”ではないのですが」
「……え…?」
九年前だとふみのは
鬼殺隊を目指し鍛錬を積み始めていた頃だ。
「鬼殺隊に入隊する人の殆どが
家族や大切な人を鬼によって
命を奪われています。
…私もそうでした」
薫子は淡々と話しを続けた。
「私は、姉の…翠子(みどりこ)に
救われました。
両親も兄弟も目の前で殺され、
行く当てのない私を
藤崎家は養女として迎えてくれました。
姉とは十も離れていましたが、
本当の妹のように可愛がってくれました。
藤崎家は代々鬼狩りの家系でした。
でも私は剣の才には恵まれず…。
でもどうしても憧れだった姉に追いつきたくて。
一昨年前からようやく隠としてですが、
勤めることができました」