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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第17章 柱合会議と光を継ぐ者




杏寿郎はその包みを見て
じんわりと心があたたまっていく。


「ふみの…。
 君が届けてくれたのだろう…?」

(…っ!)


湿布に目を落としながら、
優しく呼びかけてくれる杏寿郎の声に
ふみのの心はきゅうっと締め付けられる。

(杏寿郎……っ)

道の角で身を潜めているふみのは
込み上げる想いを必死に抑え込んだ。

(もう泣かないって、決めたのに…っ)

堪えても涙が止まらなかった。


「兄上…っ、どうされましたか…?」

千寿郎がびっこを引きながら
門までやってきた。

「…ふみのが届けてくれていた」

「…??」

杏寿郎は手に持つ湿布を
千寿郎に見せた。

「…!!
 ふみのお姉様が…っ?」

「…ああ、
 これはきっとふみのだ」

杏寿郎はふみのの思いに嬉しくなるも
会えない寂しさに心を痛めた。

「さあ、家に入ろう」

杏寿郎と千寿郎の声が遠くなり、
ふみのは潜めていた息をふうと吐き切る。

(届いてよかった…っ)

ふみのは目尻の涙を拭いた。
そして道の角からそっと顔を覗かせ、
明かりが灯る煉獄家を見つめた。

ふみのは静かに笑みを落とすと、
自分の屋敷に戻っていった。





「兄上…ふみのお姉様に
 また、会えますか…?」

淋しそうに話す千寿郎に
杏寿郎は優しく微笑んだ。

「…千寿郎、大丈夫だ。
 ふみのにまた会える。
 俺は信じている」

そう微笑むもどこか悲しげな杏寿郎に
千寿郎も胸を痛めた。

どうか、どうか前のような二人に戻って欲しいと
願わずにはいられない千寿郎だった。


その願いを聞きにきたかのように
一筋の流星が夜空を駆けていった。





「何方に行かれていたのですか」

帰宅するや否や、
ふみのは隠の薫子に問い質された。

「と、届け物をにし…」

「…以前もお伝えしましたが、
 そのようなことは私どもがすること。
 …光柱様は、柱としての自覚が
 無さすぎるように感じますが」

「…すみません……」

はあと深い溜息をつく薫子は
そのまま厳しい目つきのまま話し続けた。

「…お伝えしたいことがありましたが、
 明日またお伺いに参ります」

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