火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第17章 柱合会議と光を継ぐ者
炭治郎の部屋に夕日が
差し込んできていた。
「あ!ふみのさんが
何の呼吸の使い手なのか
聞くのを忘れた!明日聞いてみよう。
禰󠄀豆子、良かったな!
ふみのさんが着物を持ってきてくれるって!」
ふみのという言葉に禰󠄀豆子は嬉しそうに
木箱の周りを駆け回った。
(…でも、何だろう。
ふみのさんからの匂い、
家族を失った悲しさの他に…、
切ない、片想いのような…)
片想いの匂い?はて、恋の匂いってどんなだ?と
炭治郎は顎に手を当て考え込む。
まだ恋愛の経験が然程多くない炭治郎にとっては
未知なる匂いでもあった。
(ふみのさんは、
誰かに恋をしているのかな…?)
炭治郎がふみのの想い人に気付くのは
この先の任務で向かった
とある列車の中だった────
ふみのはしのぶを訪ね、診察室にいた。
「…湿布薬ですか?
もちろんありますが…、
ふみのさんどこか痛めているのですか?」
「!! えっえと…っ」
ふみのは本部にて杏寿郎が言っていた
千寿郎の痛めた足のことが気になっていたのだ。
だが、貰う理由までふみのは全く考えていなかった。
「…せ、先日、任務の時に軽く、捻ったところが、
少々痛む、ような気がして、
あっでも、もう全然平気なのですがっ」
思いつく言葉をそのまま言うも
あたふたした言い草になってしまった。
(…!
ふみのさん、もしかして…)
またもや察しのいいしのぶは
その理由に気付いた。
きっと、ふみの自身でなく、
千寿郎の為であろうと。
「あら、それはそれは…。
分かりました。
今ご用意しますね」
しのぶはいつもの笑顔で
薬剤棚から数枚の湿布を取り出していた。
(気付かれてない…よね…?)
ほっと安心するふみのを背に、
しのぶはふみのが
嘘をつけない性格なのを知っていた。
(ふみのさんらしいですね)
そう思いながら、しのぶはふみのに
湿布の入った包みを手渡した。
「はい、ふみのさん。
多めに入れておきましたので、
なくなったらまたいらしてくださいね。
あと、無理は禁物ですよ?」
「あ、はい!
ありがとうございます!」