火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第17章 柱合会議と光を継ぐ者
「ならば俺が派手に頚を斬ってやろう。
誰よりも派手な血飛沫を見せてやるぜ。
もう、派手派手だ」
杏寿郎と天元はその少年、竈門炭治郎を斬ろうと迫り詰める。
蜜璃とふみのは、確かに違反をしていたことは
許されることではないが、殺してしまうことに
胸を痛めていた。
「なんというみすぼらしい子供だ、可哀想に…。
生まれて来たこと自体が可哀想だ…」
行冥も手の数珠を鳴らしながら涙を流し、
杏寿郎、天元と同意見のようだ。
無一郎は何やら空を眺め、
まさに上の空といった様子だった。
その時、上の方から声が響く。
松の木の枝にいた小芭内の視線が
義勇に向けられた。
「そんなことより、冨岡はどうするのかね。
拘束もしてない様に
俺は頭痛がしてくるんだが。
胡蝶めの話によると
隊律違反は冨岡も同じだろう」
義勇はただ茫然としたまま立ち尽くしていた。
(冨岡さんが隊律違反を…!?
一体どういうこと…?)
ふみのは全く話が読めず、混乱していた。
「まあいいじゃないですか。
大人しくついて来てくれましたし。
それよりも私は坊やの方から
話を聞いたいですよ」
しのぶは先程と変わらない笑みを見せている。
炭治郎が何かを話したそうに口を開けるも
怪我のせいなのか咳き込み、声を詰まらせる。
しのぶが炭治郎に鎮痛剤が入った水を
ゆっくり飲ませると、
炭治郎はうつ伏せのまま顔を上げ、話し出した。
「…俺の妹は鬼になりました。
だけど人を喰ったことはないんです。
今までもこれからも、
人を傷つけることは絶対にしません!」
「下らない妄言を吐き散らすな。
言うこと全て信用できない。俺は信用しない」
「…鬼に取り憑かれているのだ。
早くこの哀れな子供を殺し解き放ってあげよう」
小芭内と行冥の怒りはさらに増長していく。
それでも炭治郎はさらに声を張った。
「聞いてください!!
俺は禰󠄀豆子を治すために剣士になったんです!
禰󠄀豆子が鬼になったのは二年以上前のことで
その間禰󠄀豆子は人を喰ったりしてない!」
「話が地味にぐるぐる回ってるぞアホが。
口先だけでなく、ド派手に証明してみせろ」
天元の表情もさらに険しくなる。