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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第17章 柱合会議と光を継ぐ者




こんなにも身勝手に過ごしていた自分のことを
こんなにも想ってくれている皆の気持ちに
ふみのの心はあたたまってゆく。

「…一ノ宮」

義勇に呼ばれ、その瞳を見ると
じっと見つめられた。

「…伝えたいことがある」

「はい、何でしょうか…っ」

「……後日話す」

「…?! わ、分かりました。
 お伺いできる時、鎹鴉を飛ばします」

義勇はこくりと頷くと、皆から距離を置くように
隅の方に行った。


「すまない!少々出遅れてしまった!」

その声にふみのは、はっとその方を見た。
杏寿郎だった。あの大雨の日以来の再会だった。

いつも見せている溌剌とした表情で
輪の中に入ってきた。

杏寿郎と目が合うも
ふみのは目を伏せてしまった。
笑った杏寿郎を見たのが久しぶりで
嬉しい反面、気まずくもあった。

杏寿郎もふみのを見るも、
それ以上に声を掛けられなかった。

「煉獄にしては珍しいじゃねぇか」

「弟の千寿郎が稽古中に足を捻ってしまってな。
 手当をしていた」

ふみのは思わず杏寿郎を見る。

(千寿郎くん…っ、大丈夫かな…)

咄嗟に杏寿郎に声を掛けようとした時、
一人の隠が庭に入ってきた。

「柱の皆様、お話中、失礼致します!」

その隠は市松模様柄の羽織を身につけた
少年を傍に抱えていた。

「…其奴か?鬼を連れた隊士ってのは」

天元が低く唸る。
その場の雰囲気が一気に張り詰めた。

隠はふみの達の前に
意識を失っているその少年を横たわらせた。

「起きろ、起きるんだ、起き…オイ。
 オイコラ、やいてめぇ、やい!!
 いつまで寝てんだ!さっさい起きねぇか!!
 柱の前だぞ!!」

隠が声を荒げると
傷だらけのその少年はゆっくりと目を開け、
はっと周りを見渡した。

(何か悪いことをするような子には見えないけれど…。
 その鬼は何処にいるの…?)

ふみのは心配そうにその少年を見た。

「ここは鬼殺隊の本部です。
 あなたは今から裁判を受けるのですよ。
 竈門炭治郎君」

静かに微笑むしのぶのその声色は優しくも、
どこか怒りを含んでいるようにも聞こえる。

「裁判の必要などないだろう!
 鬼を庇うなど明らかな隊律違反!
 我らのみで対処可能!鬼もろとも斬首する!」

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