火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第17章 柱合会議と光を継ぐ者
「…もしかして、新しい柱か?
一匹狼で鬼を狩ってるつーから、
もっとやべぇヤツかと思ったら、
意外と普通じゃねぇか」
派手な装飾を身につけた隊士は
ふみのを見下ろすように眺めた。
「俺は宇髄天元。
んで、こっちが岩柱の悲鳴嶼さん」
岩柱こと、悲鳴嶼行冥は手に絡める
数珠をじゃらっと鳴らした。
「…光の呼吸…、謎は多いが、
柱として共に戦えることは稀有なことだ…」
「…いえ、まだまだ未熟者ではありますが、
宜しくお願い致します」
天元はふみのの頭にぽんと手を乗せた。
「ま、一先ず宜しくな」
「…はい」
(もっと嫌われていると思ってた…)
ふみのは少しだけ胸を撫で下ろした。
するとふみのの背後から
足音が聞こえた。
「お、時透!久しいな」
よ!と天元が手を上げる。
「…お久しぶりです」
小さく消えるように話すその少年、時透無一郎は
ふみのの隣まで歩いてきた。
ふみのはその容姿に目を見開く。
(…っ!
目が、そっくり…っ)
無一郎のつぶらな垂れ目が、
ふみのの弟・健一郎と瓜二つだったのだ。
「…貴方は?」
「あ…っえと、
一ノ宮ふみのと申します」
「……一ノ宮ふみの…」
「ホラ時透、前回の会議で、
新しい柱の候補の話ししたじゃねーか」
「…そういえば…、
…そうだったような…」
無一郎はじっとふみのを見た。
見つめられるほど、
健一郎と重なって見えてしまう。
ふみのの目が薄らと潤んだ。
「…?
…何で泣いてるんです?」
「あっいえ!泣いてなど…っ!」
「…??」
ふみのは無一郎から見えないように
さっと目元を隠した。
無一郎は、暫くふみののその様子を見ていた。
「ふみのさん…っ?!」
懐かしい声に呼ばれ振り向くと、
そこには蜜璃がいた。
蜜璃は泣きながら、
ふみのに抱きついてきた。
「良かったです…っ、
本当に、良かったです…っ!!」
ふみのも蜜璃を抱きしめ、
その背中を優しく撫でた。
「本当にごめんなさい…。
お見舞いも来てくれていたのに…。
蜜璃ちゃん、本当にごめんね…」