火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第17章 柱合会議と光を継ぐ者
『ふみのさんはやっぱり凄いって、
皆で話してたんです…っ』
本條の言葉がこだまする。
どんなに強くなろうとも、
大切な人を守れていなければ意味がない。
私は未だ 何も成せていない
ふみのは焦る気持ちを抑え、
風を切るように走った。
それからまた数名の隊士を救出し、
手当をしていると杲がやってきた。
「伝令!伝令アリ!
炭治郎・禰󠄀豆子、両名ヲ拘束!
本部ヘ連レテ帰ルヨウ指示有リ!
ふみのモ、ソノママ本部ヘ!」
「…??タンジロウ?ネズコ?」
初めて聞く名前に
ふみのは脳内に疑問符が浮かぶ。
「炭治郎 額ニ傷アリ!
竹ヲ噛ンダ鬼 禰󠄀豆子!」
「竹を噛んだ鬼…!?」
(人が鬼を連れているってこと…?)
「杲さん、一体どういうことなの?」
「詳細ハ不明!本部ヨリ説明サレルカト!」
「…そう、分かった。
山の鬼は…?」
「水柱ガ討伐シタ!」
「…! 冨岡さんが…!」
ふみのは義勇とも
あの下弦の鬼との争闘以来、
顔を合わせていなかった。
ふみのは駆けつけた隠に負傷者を託し、
その足で鬼殺隊本部へと向かった。
ふみのは二回目となる
鬼殺隊本部・産屋敷邸の訪問に緊張していた。
他の柱とは、誰がいるのだろうか。
杏寿郎は勿論、しのぶと義勇は
既に会ったことがあるものの、
他の柱とは一度も会ったことがなかった。
まさか自分が柱候補として
名が上げられていたことを
ふみのは今も信じられなかった。
しかし蝶屋敷を出てからというもの
他の隊士とは殆ど関係を絶ってきた。
協調性に欠け、単独任務だけを繰り返してきた日々。
きっとこれまでの身勝手な行動について
言及されるだろう。
しかし周りににどう言われても仕方がない。
当然の報いだ。
何を言われようと、
これまで通り任務を遂行していけばいいだけのこと。
ふみのは
緊張の面持ちで、産屋敷邸の門を潜った。
庭を進むと
数名の隊士の後ろ姿が見えた。
(あの人達が柱…?)
恐る恐る進んでいくとふみのの足音に
背の高い一人の男の隊士が振り向いた。
「? お前…誰だ?」
「は、初めまして。
一ノ宮ふみのと申します…」