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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第17章 柱合会議と光を継ぐ者




ふみのが那田蜘蛛山にて
鬼の捜索を開始して二日が経っていた。

山は広く聳え立ち、ふみの一人では
大元となる鬼の足取りを掴みきれずにいた。

その鬼の支配下に蠢く、
手下の鬼しか見当たらなかった。

そしてその鬼を斬る際、
“累には何も言わないでくれ”と
泣き叫ぶようにせがまれた。

(ルイ…?!
 この蜘蛛の糸を操る大元の鬼のこと…!?)

ふみのは必死に捜索を進めるも、
昨夜から動員された隊士の負傷者の数が際立ち、
その救護に追われていた。

ふみのは杲に頼み、
本部へ現状報告と応援を要請すると
耀哉の指示の元、しのぶと義勇も
加勢するとの連絡を受けた。

それまで持ち堪えなければと、
任務遂行中の隊士には
くれぐれも厳重に注視するよう伝え、
ふみのは救助と鬼の捜索を単独で進めた。

鬼の罠に掛かり、
既に息絶えている隊士も出始めていた。

(酷(むご)いことをする…。
 もう少し早く来ていれば…っ)

ふみのは負傷している隊士を見つけては処置を施し、
救命の伝達を杲に任せ、更に奥へと進む。


その時、呻き声が聞こえた。
声の方に向かうと一人の隊士が横たわっていた。

「本條くん!!」

以前任務を共にした本條だった。
腕と脚を深く切られており、出血をしていた。

「くっ…っ、ふみのさ…っ」

「大丈夫。これで強く押さえて。
 今隠を呼んでいるから、
 もう少しだけ頑張って」

ふみのの応急処置により
本條の出血は徐々に引いていった。
鬼の毒が回らないよう、体を支えながら、
他の隊士達の所へ移動した。

「ここで待機を。
 私はもう少し先を見てくる」

「あ、あの、ふみのさんっ…」

「何?」

「…柱になったって…本当、ですか?」

「…どこでそれを?」

「あっいえ、その…、風の噂で…。
 …ふみのさんはやっぱり凄いって、
 皆で話してたんです、だから…っ」

本條の言葉にふみのの表情が曇る。

「……本條くんが思うほど
 私は凄くないわ」

「そんなことな…っ、ぐっ…」

身を乗り出すように本條はふみのを見るも、
傷の痛みにその顔が歪んだ。

「動くと傷口に障るわ。
 …ここにいてね」

ふみのは小さく微笑むと
さらに奥へと駆けていった。

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