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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第3章 生き残った一人の少女




瑠火とふみのは買い出しから戻り庭先を見ると、
杏寿郎と千寿郎はまだ素振りをしていた。

「千寿郎!腕が下がってきている!」

「はい!あにうえ!」

杏寿郎の指導に一生懸命に食らいつこうと
必死で素振りをする千寿郎。

瑠火達の帰宅も気づいていない様子だった。

瑠火はそんな二人を優しく見守るように見つめ、
ふみのと一緒に屋敷に入った。

「一緒に来てくれてありがとう、ふみのさん」

その言葉に嬉しくなり、そっと笑顔になるふみの。

「ふふ、ふみのさんの笑顔は可愛らしいですね」

ぽんぽんと頭を撫でてくれる瑠火の手が温かかった。


すると奥の部屋から誰かが歩いてきた。

槇寿郎だった。

槇寿郎は、ふみのがあの日と見違えるほど、
顔色が良く、笑顔も見られるようになっていたので
胸を撫で下ろした。

「お戻りになっていらしたのですね。
 留守にしていて、ごめんなさい。
 ふみのさんと買い物に行っていました」

「ああ、俺も今戻ったところだ。
 ふみのさん、体調はどうだ?
 しばらく帰れておらず、様子を見に行けずすまなかった。
 痛むところはないか?」

(…!
 炎の神様と思っていた人は、瑠火様の旦那様だったんだ…。
 あの日のお礼もまだ何も言えてない。
 早く伝えなくちゃ…)

何か話そうと口を開くが、声が出てこない。

そんなふみのを優しく宥めるように
槇寿郎はぽんとふみのの肩に手を乗せた。

「ふみのさん、無理をする必要はない。
 ゆっくり時間をかけていけば大丈夫だ」

優しく笑う槇寿郎にふみのの肩の力が抜けていった。

「さて、俺は杏寿郎と千寿郎の様子を見てくる!
 夕食までには戻る!」

はいと瑠火は言い、
槇寿郎は庭に向かっていった。

「ふみのさん、今日は一緒にお夕食を食べませんか?」

瑠火はふみのの体調が回復するまでは
無理に家族に会わせるのを控えていた。

無理強いはしたくなかったが、
杏寿郎と千寿郎にも会えたこともあり、
思い切って聞いてみたのだ。

少し俯いたふみのだったが、
瑠火の目をじっと見て、少し緊張した面持ちでこくんと頷いた。

「よかったわ!皆んなふみのさんに会えるのを
 楽しみにしていたんですよ」

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