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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第15章 下弦の壱、そよぐ勿忘草 ˖☽°.*




ふみのは息苦しさなど忘れて、
目の前の木々を避けて全力で走った。


すると開けた所に、数名の隊士達が
何人かの負傷者を囲んでいた。

「皆!ここは私が食い止める!
 怪我人を安全なところへ!」

「一ノ宮さん…っ!!
 蓮さんがっ!他の隊士と、この先へ…っ」

今にも泣き出しそうな女性の隊士に
ふみのはそっと笑いかけた。

「分かった、ありがとう。
 鎹鴉を飛ばして、早く救助を!!」

「はい…っ!!」

ふみのはその先へと急いだ。


蓮は無事なのか。

他の隊士も。


ふみのはただ只管に駆けていく。






「なかなか、しぶとい鬼狩りだなあ…?!」

鬼はだらだらと緩んだ口元から
唾液を垂れ流し、自身の舌でそれを舐めとる。

蓮は肩を大きく上下に揺らし、
呼吸を整えていた。

鬼から受けた、
幾つもの切り傷から滲み出る出血により
隊服が赤く染まっていく。

一つに結った彼女の長い髪も
攻撃を躱した際、
肩まで切り落とされてしまった。

他の隊士達は既に息絶えて
鬼の前に横たわっていた。

「…はっ、それはこっちの台詞よ」

「さっさと死ねば、楽になるものを…。
 …そこまでして俺を斬りたいのかあ?」

挑発するようにぎろりと蓮を睨む。


その鬼の左の青白い眼球には
“下壱”と刻まれている。


「あんたみたいな腐った奴、
 ほんと頭にくる…っ!
 お前なんて、」

「っ!?……腐った…だと…っ!?
 ふざけるなふざけるなふざけるなっっっ!!!」

鬼が激しく声を荒げると、
地面が大きな音を立ててひび割れ、
蓮の足元へと勢いよく伸びる。

「!!
 …くっ…っ!」

蓮は痛む傷を庇いながら
後ろへと飛び下がるが、
その着地を狙うように
蓮の足元まで、地面が裂けてくる。

(まずい…っ足元が…っ!!)

体勢を変えようとするも
傷の痛みで体が言うことを効かない。

「そのまま死ね!!!!!」

鬼の叫ぶ声と同時に、
地面から木の根のような触手が
蓮の足に伸びる。

(やられる…っ!!)

蓮は目を閉じ、
死を覚悟した。



その時─────



「全集中 光の呼吸 壱ノ型 翠光!!!」



稲光のような凄まじい光は
触手を一瞬にして切り刻むと、
光彩が地面を這う。
そして鬼を目掛け、閃光が飛び散った。

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