• テキストサイズ

火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第15章 下弦の壱、そよぐ勿忘草 ˖☽°.*



ふみのは千寿郎と朝餉をとり、
昼餉の支度を用意していると
杏寿郎が台所へと入ってきた。

「すまない!大分寝てしまっていた!」

「杏寿郎!」「兄上!」

「お帰りなさい!兄上!
 ご無事で…本当に良かったです…っ」

「千寿郎、長い間留守にしてすまなかった。
 家のことも、いつもありがとう」

「いえ!兄上とふみのお姉様が
 いつもお元気でいて下さるのが
 俺は何より嬉しいんです!」

にっこりと笑う千寿郎に
ふみのと杏寿郎は心癒される。

「兄上、湯浴みの用意ができていますよ!
 朝食はその後にされますか?」

「ああ!では先に湯浴みをいただくとしよう!」

「分かりました!
 兄上の着るものと手ぬぐいを
 持っていきますね!」

千寿郎は台所から出ていくと
ふみのと杏寿郎は二人きりになる。

「杏寿郎、もう少し休んでいてもいいのに…」

「ああ。でも久々に家に戻れて、千寿郎に会えて、
 何よりふみのと過ごせるのが
 俺は堪らなく嬉しい。
 …体は平気か?」

そう言いながら杏寿郎は
ふみのの手を握り、
もう片方の手をふみのの頬に添える。

「うん、大丈夫…っ」

ふみのは先程の杏寿郎との
行為を思い出して、胸がじゅんと火照る。

「うむ、それなら良かった。
 …だが、顔が赤いな?」

「えっ、そ、そう?」

少しばかり意地悪そうに笑う杏寿郎に
ふみのは目を合わせられなくなる。

「ほ、ほら!千寿郎くんが
 湯浴みの用意をしてくれているから!
 あたたまってきてっ?」

杏寿郎の視線から逃げるように
ふみのは顔を逸らした。

杏寿郎は目を細めながら
照れたふみのの頬に口付けをした。

「午後は少し、二人でゆっくりしよう。
 ふみのも連日の任務で
 疲れているだろう?」

「…う、うん!」

どういう意味での“ゆっくり”なのか
ふみのは妙にどきどきしてしまう。

杏寿郎はもう一度、ふみのの頬に口付けると
湯浴みをする為に台所を後にした。

杏寿郎が示してくれる愛情が
あまりにも優しくて、心強くて、
その心地よさが体に流れ込んでくるようで、
想う気持ちは増すばかりだ。

/ 545ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp