火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第15章 下弦の壱、そよぐ勿忘草 ˖☽°.*
部屋に入ると、ふみのはそのまま
杏寿郎にゆっくりと押し倒された。
杏寿郎もふみのも
その先の男女の行為については
何となく知識はあったものの、
その行為自体は初めてだった。
畳に仰向けになるふみのに
杏寿郎は覆い被さるようにして
ふみのを見つめた。
「…怖いか?」
「…ううん、大丈夫。
杏寿郎になら…どんなふうにされても平気」
そう微笑んで答えるふみのだったが、
僅かに震える指先を杏寿郎は見逃さなかった。
その指先を包むように
杏寿郎はふみのの手を握りしめる。
「…震えている。
今日はもう止めておこう」
「…ううん、お願い、止めないで…?
今日もこの後、ずっと一緒に居られるか
分からないもの…。
…今、この瞬間だけは、
杏寿郎だけを見ていたいの…」
その言葉に、
杏寿郎は気付くと
ふみのに唇を重ねていた。
それに応えるように
ふみのも杏寿郎の首に腕を回す。
杏寿郎もふみのの頭部と
背中に腕を回した。
どれほど、この瞬間を待ち望んていたか。
愛おしく想うひとが、今この胸の中にいる幸福に
二人はどんどん酔いしれていく。
杏寿郎の熱い舌が
ふみのの小さい口内に侵入すると
ふみのはびくんと肩を震わせる。
「…っふ…っ」
ふみのの甘い吐息が漏れる。
その声に杏寿郎は歯止めが効かなくなる。
ふみのも必死に杏寿郎に応えようと
自分の舌を絡ませていく。
杏寿郎はゆっくりと
ふみのの口元から離れる。
ふみのの蕩けきった顔に
杏寿郎は益々欲情してしまう。
「…ふみのは本当に愛いな…」
ふみのの唇が
二人の唾液で艶やかに濡れている。
何も付けていない
ふみのの自然な唇の色は、
いつもに増して紅く染まっていた。
その唇を杏寿郎は
指の腹でそっと拭う。
「ふふっなんか照れちゃうなあ…っ。
でも嬉しい…っ」
「…ふみのが喜ぶなら、何度でも言おう。
ふみのは愛い。
そして…俺が心から愛おしく想う人だ」
「…私も杏寿郎が大好き。
杏寿郎を好きになって幸せ。
…私を好きになってくれてありがとう」
「…っ!」