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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第15章 下弦の壱、そよぐ勿忘草 ˖☽°.*



「杏寿郎…っ!!」

ふみのはそのまま
杏寿郎の胸に飛び込んだ。

杏寿郎も頬を擦り寄せて
ふみのを力強く抱きしめる。

「戻るのが遅くなって
 すまなかった。
 ふみの…何も変わりはないか?」

「うん…っ、私は大丈夫…っ。
 杏寿郎は…?疲れたでしょう…?」

「そうだな…でも今、ふみのに会えて
 疲れが嘘のように、全く感じない。
 …ふみのに会いたかった」

「私も杏寿郎に会いたかった…っ」

二人は更に腕に力を込めた。

自分の目の前に杏寿郎がいる、
それだけでふみのは
言葉にならない程の幸せに包まれる。

二人はそっと顔を見合わせると
そのまま引き寄せられるように口付けをした。

杏寿郎の手がふみのの頭部に伸びる。

口付けは更に深まり、
お互いが生きていることを実感し合う。

顔の向きを変えながら、
杏寿郎はふみのの唇に貪りつく。

ふみのは上手く息が吸えず、
息苦しくなりつつも、
杏寿郎の熱い抱擁に、満たされていく。

「…はぁっ…っ」

一瞬、両者の唇が離れると、
ふみのが必死に息を吸った。

杏寿郎は、はっと我に返り、
ふみのから顔を離すと
目を潤ませて熱るふみのを見た。

「す、すまない…苦しかっただろう…」

杏寿郎は申し訳なさそうに
自身の高ぶる気持ちを抑えながら
ふみのの頬に手を添えた。

ふみのはにっこりと笑うと
自分の手を杏寿郎の上から重ねる。

「ううん、大丈夫。
 …大好きな人からの口付けは、
 何にも変えられない幸せね。
 …ずっと、こうしたかった…」

杏寿郎の中で、何かが弾けた。

目の前にいるふみのを
杏寿郎は更に強く抱きしめた。

「…っ!?杏寿郎…??」

杏寿郎はふみのに
顔を埋めるように、抱きついた。

ふみのも、体の奥からじわりと湧き上がる
熱を纏ったかのような感覚に襲われる。

「ふみの…、俺の部屋に…っ」

杏寿郎はふみのの耳元で
熱い吐息と共に、声を吐き出す。

杏寿郎の吐息がかかった耳は
そこだけ疼くように、酷くこそばゆい。

「…うん…っ」

ふみのも杏寿郎の耳元で囁く。

杏寿郎はふみのを抱きかかえると、
自室へと向かった。

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