火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第15章 下弦の壱、そよぐ勿忘草 ˖☽°.*
「毎日食べられるぐらい好きですよっ!
義勇さんは、何を食べたんですか?」
「…鮭大根」
「ふふっ、義勇さんも
めちゃくちゃ好きじゃないですかっ」
けたけたと笑う蓮を
義勇は気付かれないように
小さく微笑んで見つめていた。
なんか
すっごい居心地いいなあ…っ
蓮の頬が緩む。
こんなにも、あたたかく、
満たされていく気持ち。
蓮は視線を感じ、ふと義勇を見ると
じっと見られていた。
「な、何…ですか…?」
「…蓮の目は、」
「…?」
「純粋で、汚れがない」
「…っ!」
俺のことを見る人間なんて
誰一人いないと思っていたのに
蓮は、その瞳で
この俺を、見てくれているんじゃないかと
自惚れてしまいそうになる
「…あたし、義勇さんの目を初めて見た時
沢山の事を、乗り越えてきたんだなって
思いました」
「…!」
「…あたしの兄は鬼に殺されました。
家族は誰一人いなくなって。
…生きていても、辛くて。
このまま生きてても意味ないって
何度も思いました」
義勇は蓮の言葉を静かに聞いていた。
俺も、そうだ
あの時
自分が鬼から
蔦子姉さんを守っていれば
最終選別で
俺がもっと鬼を斬っていれば
錆兎も、死なずに済んだかもしれない
あの時
俺が、代わりに死んでいれば─────
仄暗く、混沌と、
その後悔が義勇を責める
しかし、蓮の言葉が
義勇の心に光を灯した。
「でも…でも自分よりもっと苦しい人はいて…。
助けを求めてる人が
この世の何処かに、一人でもいるのなら、
あたしは、少しでも、ほんの少しでもいいから
役に立ちたいって、思ったんです。
両親と兄が、あたしの命を
今もこうやって繋いでくれているように
あたしも誰かの命を繋いでいきたいって。
そして繋がれた想いを
ちゃんと残していきたいって
そう思ったんです」
「……っ!」
義勇は、蓮を見つめたまま固まる。
蓮の言葉が
義勇の過去を引き寄せる。
そして脳裏に響く、
懐かしい、錆兎の声。
『義勇!!
自分が死ねば良かったなんて
二度と言うなよ
お前は絶対死ぬんじゃない
姉が命をかけて繋いでくれた命を
託された未来を
お前も繋ぐんだ
義勇─────」