火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第15章 下弦の壱、そよぐ勿忘草 ˖☽°.*
恋仲になったふみのと杏寿郎だったが
柱になった杏寿郎の任務は
以前にも増して激務だった。
今までとは比べ物にならない程に多忙を極め
家に帰ることが一気に減った。
任務に加え、警備地区も広範囲になり
杏寿郎は藤の家に泊まっては
次の任務に向かうことが大半になった。
ふみのも杏寿郎も会えない寂しさが募りつつも
任務の合間を縫っては
杲と要に手紙を届けてもらっていた。
お互いが無事でいて
それぞれの場所で生きているという事実が
二人を励まし、支えになっていた。
ふみのと杏寿郎が最後に話した日から
既に十日が過ぎようとしていた。
その日、偶然にも非番が被ったふみのと蓮は
煉獄家の縁側で茶菓子を食べていた。
二人も連日の任務や巡回に見舞われ
久々の非番だった。
「ひっさしぶりの休みだし
師匠に稽古をお願いしたらさ、
少しは休めって言われちゃった」
「最近、任務が増える一方だものね…。
蜜璃ちゃんも杏寿郎も忙しそうで
稽古もめっきり減ってきたし…」
「蜜璃にも全然会えてないな…。
杏寿郎くん、炎柱になったんだもんねえ。
本当すごいよ。けどこんなにも忙しくなるんだね」
「うん…任務続きで、心配ではあるんだけど…。
そうだ、蓮は水柱様との稽古はどう?」
蓮は、ん〜と考えるように
空を見上げながら、
口角が少しずつ上がっていく。
「義勇さんも忙しそうだし
ほんとお互いの任務の合間にって感じかな。
でも…すごい親身に見てくれて。
大分形に出来てきた感じはする、かなあ」
「…ふふっ」
ふみのは蓮が照れながらも
嬉しそうにする様子に
思わず笑みが溢れてしまう。
「ちょっ…ふみの!何笑ってるの!」
「ごめんごめんっ!
蓮の嬉しそうな顔を見てたら
私も嬉しくなっちゃって…!」
「えっ、あたしそんな顔してたっ?!」
「うん!すっごいしてた!」
「〜〜〜…。
…きっと、あたしは義勇さんのこと、
好きなのかも、ね。
…うわ〜〜〜これさ、自分で言ったら
余計に恥ずかしくなるじゃん…っ!」
蓮は真っ赤になる顔を両手で覆った。
そんな蓮がふみのは愛おしくて堪らなくなる。
「…で、ふみのはどーなのよ?」
「へ?」
ちらりと蓮がふみのを見る。