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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第14章 炎柱、そして迫る影




「ふみの。
 俺はふみのが好きだ。
 その笑顔を見た時から、
 ずっと…君を想っていた」


「……っ!」


杏寿郎の言葉に
ふみのの目尻から涙が溢れた。

「…っ、すまない、泣かせるつもりは…っ」

杏寿郎は握っていたふみのの手を解き
頬を伝うふみのの涙を指で拭う。

「ううん、違うの…っ」

ふみのは嬉しさのあまり、
涙が止まらない。

幸せすぎて、
どうにかなってしまいそうなくらいに。


「…私も、杏寿郎のことが、大好き。
 ふふ、何て言っていいか分からないくらい、
 嬉しくて、幸せ…。
 こんな気持ち、初めて…っ」


嬉しそうに微笑むふみのに
杏寿郎はずいっと近寄る。

「俺も、同じくらい幸せだ。
 ふみの、これからも
 俺の傍に…いてくれないか?」

「はい、喜んで…っ!」



杏寿郎はふみのの首に
ゆっくりと手を添える。

初めて異性に触れられる首元に、
ふみのは思わず肩を竦める。

「私、湯浴みの後で、
 髪、まだ乾いてない、から…っ」

「何も問題はない。
 …此処に、口付けても?」

杏寿郎の指が
ふみのの唇をすっとなぞる。

「う、うん…っ」

二人の顔が近くなる。

吐息が混ざり、
早まる鼓動が響き合う。


そっと優しく、
ふみのの唇に
杏寿郎の甘い口付けが落とされた。


ふみのは杏寿郎の着物を
ぎゅっと掴む。

杏寿郎はもう片方の手を
ふみのの腰に回す。

「んっ…」

二人の唇は、ゆっくりと離れる。
ふみのの顔が酷く紅潮していた。

杏寿郎はそのまま抑えきれない気持ちもあったが
ふみのを怖がらせたく無いと思い、
ただじっと、ふみのの潤む瞳を眺めた。

「ふふっ杏寿郎、大好きよ」

ふみのは照れながら
杏寿郎の首に腕を回して抱きついた。

杏寿郎は後ろに倒れそうになるものの、
その細い体を、杏寿郎はぎゅっと抱きしめた。

強く、決して離すことのないように。

「俺も、大好きだ、ふみの」

二人は、顔を見合わせて笑った。



こんなにも
愛おしく想う人は
君/貴方だけ─────



ふみのと杏寿郎は、
この上ない幸せと喜びを噛み締め
それぞれの床で眠りについた。

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