火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第2章 一族の破滅
抱えているふみのの体は
かなり熱くなっていた。
(まずい、
このままではこの少女の命が危うい…っ)
早く処置をしなければと足を早めると
ふみのが魘されるように口を開いた。
「…とう、さま…かあさ、ま…、
よ、しの…けん、いち、ろ…」
槇寿郎はその言葉に胸が痛んだ。
槇寿郎が助けに駆けつけた時には
床に倒れていた女性も子ども二人も
目を開いたまま、既に息絶えていた。
(もう少し早く来ていれば…っ)
その後悔が槇寿郎の心を強く締め付ける。
なんとしてでも少女を助けたいと
槇寿郎はその一心でふみのを抱きしめる手に
祈るようにぎゅっと力を込める。
槇寿郎はさらに速度を上げ、
外にいる隊士と隠達の所へ向かった。
外はこの夜の出来事を悲しむかのように、
静かに雨が降り始めていた。