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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第14章 炎柱、そして迫る影



もしかして杏寿郎達は重傷を追い、
蝶屋敷に運ばれているのではないかと
ふみのは居ても立っても居られなかった。



その時。

「ふみのさーんっ!
 千寿郎くーん!」

ふみのは後ろを振り返ると、
そこには大きく手を振る蜜璃と、
松葉杖をつき、反対側の腕を
三角巾で吊っている杏寿郎がいた。

「杏寿郎!!」「兄上!!」

ふみのと千寿郎は
杏寿郎達に駆け寄った。

「杏寿郎、蜜璃ちゃん…っ!
 無事で良かったわ…っ」

蜜璃も安心したのか、
ふみのに抱きついて泣き始めてしまった。
それをふみのはよしよしと慰める。

千寿郎も杏寿郎に抱きつき、
涙を浮かべていた。


「ふみの、
 怪我はなかったか?
 途中、當間少女とすれ違ってな。
 ふみのは大丈夫だと、
 聞いてはいたんだが…」

ふみのは頭部に痛々しく包帯を巻きつけている
杏寿郎を見つめ、思わず抱きしめてしまった。

ふみのは杏寿郎の背に手を回し
ぎゅっとその背中を支えた。

気付くと涙が溢れ出していた。

杏寿郎は、ふみのに抱きつかれ
嬉しくも驚いてしまう。

「ふみのは
 何処も怪我をしていないか…?」

杏寿郎は優しく宥めるように
ふみのに聞く。

「私は大丈夫…っ。
 杏寿郎の怪我は
 大丈夫なの…っ?」

「もう手当は受けている、大丈夫だ。
 出会したのが下弦の鬼でな。
 少々手こずってしまった」

ふみのはいつもの杏寿郎の声に安心して
涙が止まらない。

「こんなに怪我をして、
 痛かったでしょう…?」

ふみのの声が震えていた。
 
杏寿郎は、松葉杖を握っていた手を離し、
その腕でふみのを抱きしめる。

「…っ!」

カランと松葉杖が地面に倒れた。

杏寿郎は、こんなにも心配をしてくれて
涙を流すふみのに胸が締め付けられる。

杏寿郎に余りにも強く抱きしめられ
ふみのは目を丸くする。
蜜璃も千寿郎も、その光景に頬を染めた。

「きょ、杏寿郎…?
 私…っ、急に抱きしめたりして
 本当、ごめんなさい…っ、
 お家に入りましょう…?」

頬を赤めて促すようにふみのは言い、
杏寿郎から体を離そうとするが
その力は増すばかりだった。

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