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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第14章 炎柱、そして迫る影



蓮は鬼に再度詰め寄り、刀を振り翳す。

「へへ…これを喰らえば一瞬で死ぬ…!
 血鬼術 毒塞(ドクサイ)…!」

鬼の指先から、液体が飛び散る。
酷い悪臭に、思わず蓮は怯み、後ろに下がった。

一滴の水滴が、蓮の腕を掠めた。

「つっ…っ!!」

蓮の隊服は溶け
腕の皮膚まで届くと爛れるような熱さが広がる。

「ちっ…あと少しでお前の首を狙えたのになあ…」

「本当何なの…っ、
 次はお前を斬る」

「ふへへ、やってみろよ…?」

蓮は鬼へと走る。

「くたばるのはお前だぞ…?
 血鬼術 骨砕粒(コツサイリュウ)…!」

鬼の指先から垂れた水滴は
更に細かく四方八方から蓮に襲いかかる。


「当たれ…っ!!
 水の呼吸 参ノ型
 芬木(かおりぎ) 流流舞い!!!」


蓮の放つ水飛沫と
舞い散る透明な花弁が鬼の水滴を弾く。

「な"、な"に…っ!!!」

水飛沫はそのまま鬼を目掛けて、頚を切り裂いた。
鬼は跡形もなく消えた。

ひらひらと舞い降りる花弁は
地面に落ちると静かにその姿を消していった。

蓮は、ふうと息をつき、
怪我をした腕に、持っていた布を巻きつけた。

「蓮!!」

後ろからふみのが走ってきた。

「今向こうで一匹鬼を斬ってきた…!
 !? 蓮!怪我をしたの!?」

「なーに!大したことないって!
 こんなん擦り傷だよ!
 まだいそうな気がする!」

けろりとする蓮に
ふみのは少しほっとした。

「うん、さっき助けた女の人が
 こっちに数匹向かったのを見たって…!」

「おし!先を急ご!」

「うん…!」


ふみのと蓮はしばらく進んていくと
前方に自分達より一回り背の低い一匹の鬼が
物陰に隠れるように歩いていた。

「見つけたわ…!!」

「このまま一振りで終わらす!!」

蓮はその鬼の背後に飛びかかった。

すると鬼は振り返り蓮達を見て
一目散に土下座をしてきたのだ。

その態度に蓮の動きはぴたりと止む。

「お、鬼狩りか…!?
 今、俺を殺そうとしてくれたんだよな…?!」

「…は?」

蓮とふみのは鬼の態度に驚く。

「…頼む!!俺を殺してくれ!!今すぐに!!
 もう鬼なんでこりごりだ!!
 頼む!!その刀で俺の頚を斬ってくれ…!!」

ただひたすら頭を下げて
懇願する様子にふみのと蓮は困惑した。

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