火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】
第14章 炎柱、そして迫る影
日差しが照りつけて枯れたという感じではない。
明らかに腐敗しているように見える。
「これって、単に枯れてるとかじゃないよね?
怪しい、やっぱり鬼の仕業な気がする」
蓮は顔を顰める。
「うん。蓮、今日の夜は
この一帯を見張ろう」
「うん」
ふみのと蓮は辺りを捜索しつつ、
そして夜を迎えた。
「…ふみの、いるよね、気配がする」
「うん、多分数匹は確実ね…」
「二手に別れよう。
あたしはこっちの道から見廻る」
「分かったわ」
ふみのと蓮は別々の方向を進み、
鬼を探した。
「いやああああああ!!!」
「!!」
ふみのは叫び声のした方へと向かった。
家の角を曲がると、
一匹の鬼が、倒れ込む女性の口元を掴み、
爪先から垂れる水滴を飲ませようとしていた。
「全集中 光の呼吸 参ノ型 幻明無垢!!!」
ふみのの刃から、鬼に向かって地面に光が走る。
雲の合間から覗く夜月の光彩のように、
その光は鬼を取り巻き、頚を引きちぎった。
「グガァッ…ッ!!」
鬼は瞬く間に消え失せた。
「大丈夫ですか!?」
蓮はその女性に駆け寄り
顔を覗き込む。
女性は酷く怯えていた。
「ま、まだ何匹か、いて…っ。
あっちの方向に、走って、
い、行きました…っ」
蓮が向かった方向だった。
ふみのはその女性が家に入るところを見届けた。
女性は何度もふみのに頭を下げ、
夜は外に出ないようにと伝えた。
ふみのは蓮が向かった方へと駆けた。
(何なの、この跡は…?!)
蓮の進む道には、水滴が落ちたような跡が
点々と続いていた。異臭もかなり酷い。
蓮はその跡を追いかけていくと
目の前に一匹の鬼が
よたよたと歩いていた。
(いた…っ!!)
蓮は鬼に走り、距離を詰めると
刀を抜いた。
「全集中 水の呼吸 壱ノ型 水面斬り!!」
鬼はぎろりと蓮に振り返ると
両方の指先で素早く、水飛沫を掻き切った。
(!! 何…っ!?)
蓮は鬼と一定の距離をとる。
「鬼狩りだな…?
お前も殺さなくちゃな…」
「その前に、お前がくたばれ!!」