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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第14章 炎柱、そして迫る影



杏寿郎が何を言わんとしているのか全く分からず
ふみのはあたふたしてしまう。

「願望は、あるのか!?
 その、花嫁になることに!」

「!??」

(えっ、無い訳じゃ無いけど…、
 これってなんて答えるのが正しいの…!?)

「い、いつかは…って思ったりもするけど…!
 でも、まだまだ、ずっと先の話だと思うわ…!」

「…そうか!」

「…うん!」

(…急に、どうしたのかしら…っ)





何を思い、
杏寿郎がこんなことを聞いてきたのかと
ふみのは思い巡らす。


ふみのは
杏寿郎のことを
心から好きだと、思う。


そう想う度、
嬉しくも切なく、心が苦しくなる程に。


できることなら、この先も、
ずっと一緒に居たいと思ってしまう。

だが、もし仮に、
このまま一緒に暮らせたとしても
杏寿郎と祝言を挙げるようなことは
不可能だとふみのは思った。

杏寿郎は煉獄家の長男であり、
いつか由緒正しい家系の女性と結ばれ、
この先の未来を紡いでいくのだろう。

家族が無く、全てを失った自分は
杏寿郎には、相応しく無い。


いつの日か杏寿郎にその相手が現れれば
今のように、接することも出来なくなるだろう。


それを考えると
ふみのは酷く寂しさに駆られた。

でもこればかりは
どうすることも出来ない。


今、この瞬間を
大切にしなければ。

どんなことも
永遠など、有りはしないのだ。





今、私は
杏寿郎の側にいられて

もう十分すぎるくらいに幸せ

でも

この先も

もっと、ずっと


一緒にいられたら、いいのに─────





杏寿郎も一人悶々としていた。

いざふみのに想いを話すとなると
どこまで伝えればいいのだろうかと。

この先も一緒に居たいと思ってはいるものの
それは人生を共にしたいということまで含めて
話した方がいいのだろうか。


先程の呉服屋で百合の話しを聞いて
ふみのの白無垢姿を想像してしまった。

(いや、はじめから勢いがあり過ぎては
 ふみのを混乱させてしまうな…)

杏寿郎は頭を抱えていた。



でも

自分の想いをふみのに断られたら

他に、想い人がいたとしたら



(むう、悩みが尽きん…)

ふみのへの想いが
果てしなく続いていく。


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