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火光 − かぎろい − 【鬼滅の刃 / 煉獄杏寿郎】

第14章 炎柱、そして迫る影




「うん、心音も特に問題なさそうだ。
 脈拍も安定しているね。
 軽い貧血かな。
 擦り傷に当てた綿紗は
 小まめに取り替えるように。
 ゆっくり休んで、
 栄養があるものを食べるようにね」

笹川は聴診器を耳から外す。

蜜璃はふみのの部屋で
手当をしてもらっていた。

念の為に抗菌薬を出しておくねと
処方もしてくれた。

「笹川先生、ありがとうございました…!
 診察中、何度もお腹が鳴ってしまい
 大変失礼致しました…っ」

「ははは!構わないよ。
 こんなに良い香りがしていれば
 皆、お腹を空かせてしまうよ」

何を作ってくれているんだろうねえと
笹川は愉快に笑う。

「額の傷は、鬼に?」

「・・・。
 え、えと…、
 さっきしたばかりの怪我なんです…。
 あまりにもお腹が空いてしまい、
 倒れてしまって…。
 地面にぶつけてしまいました…」

「なんと!そうだったのか!」

笹川は、
思わず声を大きくしてしまった。

「お恥ずかしい限りです…っ」

蜜璃は絆創膏が貼られた額を手で押さえ、
もじもじと苦笑いをしていた。



とんとんと襖が鳴る。

「笹川先生、今よろしいですか?」

「うん、大丈夫だよ」

襖が開くと、ふみのが
笹川への湯呑みを持って入ってきた。

「笹川先生、蜜璃ちゃんの容態は…」

心配そうにふみのが聞くと
笹川はにっこり笑った。

「少々貧血気味だが、
 しっかり食べて、体を休めれば
 すぐに良くなるよ」

「本当ですか…!よかったです!」


「蜜璃さん、念の為、
 額の傷はまた診せに来てくださいね」

「ハイ、分かりました…!」


恥ずかしそうに顔を赤る蜜璃を
ふみのは愛おしそうに見る。

(本当に良かったわ…っ)

ふみのは安堵から
目頭が熱くなる。


「失礼します!」

襖が開くと千寿郎が
お盆に溢れんばかりの食事を持ってきた。

「うわ〜〜んっ!!
 美味しそうだわ〜〜っ!!」

蜜璃は歓喜の声をあげて
目の前の料理に目を輝かせていた。

「蜜璃ちゃん!今色々作っているから
 たくさん食べていってね!」

「はいっ!ありがとうございますぅっ!!」

「笹川先生も良かったら
 お食事いかがですか?」

「ふみのさん、いいのですか?
 皆さんの分はありますか?」

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